2015年5月16日土曜日
痛風発作がある患者に対する尿酸値降下療法
[foreground question]
P: 痛風発作の既往がある高尿酸血症の患者に
E: キサンチンオキシダーゼ阻害薬を使用するのは
C: 尿酸排泄促進薬を使用するのと比べて
O: 痛風発作の回数を減らすか
キサンチンオキシダーゼ阻害薬は
アロプリノール(ザイロリック)やフェブキソスタット(フェブリク) などがあります。
フェブリクは新しい薬ですが、アロプリノールとのRCTで遜色ない効果を示しています。
(このRCTに関しては後日ブログで紹介する予定)
一方、尿酸排泄促進薬は
プロベネシド(ベネシッド)やベンズブロマロン(ユリノーム)などがあります。
CURRENTや「内科診療ストロングエビデンス」には、
蓄尿で尿酸排泄600-800mg/day以下なら
尿酸排泄低下型として、尿酸排泄促進薬を投与し、
600-800mg/day以上なら
尿酸産生亢進型として、キサンチンオキシダーゼ阻害薬を投与すると書いてあります。
しかし、引用文献がなく、根拠が不明でした。
そこで、Pubmedにて検索。
gout, arthritisでRCT, humanのフィルターをかけると135の論文がヒット。
しかし、そのうちお目当ての論文はありませんでした。
どうやら、尿酸排泄促進薬を評価したRCTはこの世に存在していないみたいです…。
アメリカリウマチ協会のガイドラインでは、禁忌がなければ第一選択はアロプリノールになっています。
副作用について
ザイロリックはやはり、過敏反応(DIHSとか)が恐ろしいです。
肝障害が起こる頻度も高いです。
ベネシッドやユリノームは尿酸結石に注意です。
予防のために飲水を促します。また、尿pHを6.0~7.0になるよう調節します。
ユリノームは最低6か月間は肝機能酵素をフォローする必要があります。
無症候性の患者に治療すべきではないのはいまさらですが、
発作があり治療する場合は血中尿酸は6.0以下になるようにします。
アロプリノールは容量不足なことが多いみたいです。割とがっつり出すべきなのでしょう。
そういえば、発作時にザイロリックを飲んでも発作がひどくならないのではという話がありますね。
Allopurinol during acute gout attacks did not differ from delayed allopurinol for pain or recurrence
Ann Intern Med. 2013;158(8):JC6.
あえて危険を冒す必要はないとは思います。
~5/22追加~
尿酸低下療法時にコルヒチン600mg/day服用することで発作の予防になるみたいです。