Gomez-Cano M, Wiering B, Abel G, Campbell JL, Clark CE. Medication adherence and clinical outcomes in dispensing and non-dispensing practices: a cross-sectional analysis. Br J Gen Pract. 2020 Dec 28;71(702):e55-e61. doi: 10.3399/bjgp20X713861. PMID: 33257460;
https://bjgp.org/content/71/702/e55.short?rss=1
背景
大半の患者は処方箋によって薬局から薬を入手しているが、僻地のGP診療所では薬を調剤することが可能である。この調剤の違いが臨床的にどのような意味を持つのかは不明である。本研究では、調剤状況が服薬アドヒアランスの向上と関連している可能性があるという仮説を立てた。このことは、例えば高血圧や糖尿病などの服薬アドヒアランスに依存する中間的な臨床転帰に影響を与える可能性がある。
目的
服薬アドヒアランスに依存するQuality and Outcomes Framework (QOF)指標の達成度の違いと調剤状況が関連しているかどうかを調査する。
デザインとセッティング
英国のGP診療所7392件のQOFデータを横断的に分析。
方法
英国のリスト規模が1000以上の一般診療所の調剤状況にリンクした2016年4月1日から2017年3月31日までのQOFデータを分析した。QOF指標は、その達成度が処方のみの記録に依存しているか、服薬アドヒアランスのみの記録に依存しているか、または依存していないかによって分類された。また、混合効果ロジスティック回帰を用いて、年齢、性別、貧困層、リストサイズ、単身赴任者の有無、地方性を調整し,調剤診療所と非調剤診療所の差を推定し、た。
結果
データは7392件あり、1014件(13.7%)が調剤診療所であった。血圧目標を含む9つのQOF指標のうち、アドヒアランスに依存する7つの指標では、調剤診療所の方が非調剤診療所よりも達成率が高かった。処方に依存しているがアドヒアランスに依存していない10の指標のうち、達成度が高いのは1つだけで、処方とは関係のない指標では、調剤診療所の方が達成度が高い傾向が見られた。
結論
調剤業務は、処方業務よりも優れた臨床結果を達成している可能性がある。これらの観察結果の根本的なメカニズムを探求し、服薬アドヒアランス率を直接調査するためには、さらなる研究が必要である。
感想
日本でも院内調剤の診療所ありますよね.目の付け所が面白いです.
一方で,調剤薬局の薬剤師が専門性を発揮できる仕組みが必要という結論もありうるかと思います.日本では,院外調剤薬局だと、薬剤師の方は、どういう経緯で処方されたかの情報が患者さんからの情報しかないので、文脈がわからない中で服薬指導などを行わないといけないという悩みがあるようです。病薬連携の重要性という文脈で考えてみたいです.