2021年2月26日金曜日

社会的ニーズと再入院率との量的関係

 Bensken, W.P., Alberti, P.M. & Koroukian, S.M. Health-Related Social Needs and Increased Readmission Rates: Findings from the Nationwide Readmissions Database. J GEN INTERN MED (2021). https://doi.org/10.1007/s11606-021-06646-3


背景

健康に関連した社会的ニーズ(HRSN)は健康を損なうことが知られているが、これまでの研究では、ICD-10のZコードを介して臨床的に認められた社会的ニーズと再入院との関係は明確には示されていない。


目的

ICD-10で同定された社会的ニーズのレベル別に、30日、60日、90日の再入院率を評価する。さらに、人口統計学、社会的ニーズ、病院の特徴、および併存疾患と30日後の再入院との関連を検討する。


デザイン

2017年全国再入院データベースを用いたレトロスペクティブ研究


参加者

ICD-10の診断コードから、雇用、家族、住宅、心理社会的状態、社会経済的状態(SES)を含む5つのHRSNのドメインを同定し、1年の間に個人がどれだけ、どのドメインでコード化されていたかを同定した。


主な尺度

HRSNドメインの数で層別化した30日、60日、90日の再入院患者の割合を多変量ロジスティック回帰で調べ、性別、年齢、支払い者、病院の特徴、機能制限、および併存疾患を調整して、再入院の数/種類と再入院との関係を検討した。


主な結果

13,217,506人の患者のうち、少なくとも1つのHRSNの診断を受けた患者はわずか2.4%であった。HRSNのない患者では、30日以内の再入院が11.5%であったのに対し、1領域のコードを持つ患者では27.0%であり、5領域のコードを持つ患者では63.5%に増加していた。60日および90日後の再入院についても同様の傾向が観察された;5つのドメインすべてでHRSNが記録された患者の78.7%が90日以内に再入院していた。5つの領域すべてでHRSNが記録されている患者の再入院の調整オッズ比は12.55(95%CI:9.04、17.43)であった。HRSNの中で最もよく報告されているのは住宅と雇用の2つであり、調整後オッズ比も最大であった。


結論

HRSNの診断数と病院の再入院との間には用量反応関係がある。この研究は、社会的リスクにある人々の再入院を減らすための介入を開発する必要性に注意を促し、健康アウトカム研究におけるICD-10のZコードの重要性を実証している。


感想

社会的ニーズを抱えている数と再入院率との量的関係が示されています.GPが介入することでこの再入院を減らすことができるというのを実証したいです.