Bowling, C.B., Sloane, R., Pieper, C. et al. Association of Sustained Blood Pressure Control with Lower Risk for High-Cost Multimorbidities Among Medicare Beneficiaries in ALLHAT. J GEN INTERN MED (2021). https://doi.org/10.1007/s11606-021-06623-w
背景
慢性疾患のクラスタリングは高額な医療費と関連している。血圧のコントロールを維持することは、高コストのmultimorbidityクラスター化を防ぐための戦略となりうる。
目的
収縮期血圧(SBP)の持続的なコントロールとmultimorbidityクラスター(併存疾患が2つまたは3つ)罹患との関連を明らかにすること。
デザイン
メディケアの請求と紐づけたALLHATコホート研究
参加者
ALLHATには高血圧で冠動脈性心疾患の危険因子が1以上の成人が含まれていた。この解析は、48ヵ月間の血圧評価期間中に8回以上のSBP測定を行った5234人の参加者に限定された。
主な測定項目
SBPコントロールは、血圧評価期間中の試験来院回数の50%未満、50~75%未満、75~100%未満、100%のそれぞれで,140mmHg未満であることと定義した。高コストのmultiborbidityクラスターには、2併存(脳卒中/慢性腎臓病(CKD)、脳卒中/慢性閉塞性肺疾患(COPD)、脳卒中/心不全(HF)、脳卒中/喘息、COPD/CKD)および3併存(脳卒中/CKD/喘息、脳卒中/CKD/COPD、脳卒中/CKD/うつ病、脳卒中/CKD/HF、脳卒中/HF/喘息)が含まれ、追跡調査中に同定された。
主な結果
追跡期間中央値9.2年の間に、1334人(26%)の参加者で2併存が発生し、481人(9%)の参加者で3併存が発生した。受診時のSBPコントロールが50%未満、50~75%未満、75~100%未満、100%の参加者では、それぞれ32%、23%、23%、19%の参加者が高コストの2併存を発症し、13%、9%、8%、5%の参加者が高コストの3併存を発症していた。50%未満の来院時に持続的なBPコントロールを行った者と比較して、50~75%、75~100%、100%の来院時にSBPコントロールを行った者の調整後2併存のHR(95%CI)はそれぞれ0.66(0.57、0.75)、0.67(0.59、0.77)、0.51(0.42、0.62)であった。対応する3併存のHR(95%CI)は0.69(0.55、0.85)、0.56(0.44、0.71)、0.32(0.22、0.47)であった。
結論
ALLHATのメディケア受給者の中で、SBPの良いコントロールは、高コストのmultimorbidity(2併存,3併存)を発症するリスクが低いことと関連していた。
感想
しっかり血圧コントロールをすることが,multimorbidity発症の予防に寄与するかもしれない,ということですね.