2015年7月4日土曜日
膵炎について
膵炎は、お腹が痛いけど、腹部所見があまりないことが多いです。
痛みの部位も上腹部だけというわけにはいかないのが難しいところです。
「胆と膵 Vol.35 膵炎大全」をざっと読んだので、気になったところをまとめておきます。
治療は絶食+輸液。重症度判定を繰り返し行って、重症と判断したら高次医療機関に転送です。
判定で必要なのは、バイタルサイン、血液ガス、血算、BUN/Cre、LDH、Ca、CRPです。
検査項目だけは暗記しておいた方があわてなくていいなという実感です。
輸液量は平均血圧65mmHg以上、尿量0.5ml/kg/h以上を目標にします。
普通だと、初日に4000ml位入れて、二日目から1500~2000mlに減らします。
実は重症でも48~72時間以内に経腸栄養を始めたほうがいいみたいです。
ここら辺のチェック項目をまとめてあるのがpancreatitis bundlesです。わかりやすいです。
(下図は難病総合センターより引用)
原因は、アルコールと胆石が二大巨塔です。
他には、ERCP後、薬剤性(コデインなど)、膵腫瘍(膵炎合併のIPMNは悪性のリスクあり)、自己免疫性などがあります。
高脂血症、高カルシウム、ウイルス(ムンプスやアデノなど)、外傷なんかも原因となります。
マニアックなところでは、虚血性膵炎、Groove膵炎、Hemosuccus pancreaticusというものもあるみたいです。
流石に日本で嚢胞性線維症をみる機会は少ないと思います。
繰り返す上腹部痛→最近痛みがないと思ったら糖尿病、脂肪便が出現→膵機能荒廃という経過をとるのが慢性膵炎です。
早期発見のために内視鏡エコーが有用なのだとか。
「繰り返す上腹部痛」というキーワードでうまく鑑別に挙げられるかが大事ですね。
※Groove膵炎
非常にざっくりいえば「膵頭部に限局する膵炎」のこと。
アルコール多飲してBrunner腺が過形成してしまうことによる生じるとのこと。
画像はこちらが分かりやすいです。
膵頭部癌との鑑別が大事かつ難しいらしいです。
※Hemosuccus pancreaticus
血液が膵管を通りVater乳頭から出血する病態。慢性膵炎を背景とする。死亡率が高い。
内視鏡で出血があれば確定だが見られないことが多い。
動脈→膵仮性嚢胞→主膵管、膵仮性膿疱壁から出血→主膵管、膵周囲の動脈瘤→主膵管といった経路がある。
症状は消化管出血(7割程度、間欠的が多い)、心窩部痛(時に)、膵炎症状(時に)
(以前、「クリニカル・リーズニング・ラーニング」でこの疾患について読んだ記憶があります。索引には載っていませんでしたが。)