2015年7月19日日曜日

shock liverについて



shock liverに出会う機会があったので、UpToDateで調べてみました。
Ischemic hepatitis, hepatic infarction, and ischemic cholangiopathy


shock liverは虚血性肝炎とも言います。
名前に反して、shock liverの半数はショック状態ではありません。

肝臓への血流が急速に減少することで、AST・ALTが著明に高値になります(1000IU/lを超えることも)が、肝臓の症状は通常見られません。LDHも著明に上昇します。
原因は、低血圧(ショック状態)の他に、肝局所の血流低下、重症呼吸不全、低酸素血症、閉塞性睡眠時無呼吸、急性下肢虚血などでも起こります。

鑑別は、ウイルス性肝炎、薬剤性肝障害です。
鑑別のポイントは以下の通りです。

・ウイルス性肝炎ではLDKが早期に急激に上昇することはあまりない。
・発症早期でALT/LDHが1.5以下であれば、ウイルス性肝炎よりshock liverが疑わしい。
・AST・ALTが上昇後急激に下がれば、shock liverが疑わしい。
・腎障害の急激な進行があればshock liverが疑わしい。

予後は、結構状態が改善すれば良好です。
肝の基礎疾患がある患者さんでなりやすいみたいです。