毎週Mayo Clinic ProceedingsのResidents' Clinicを読んでいるのですが
なかなかブログにまとめる時間が取れていません。
というわけで久しぶりにまとめてみます。
31-Year-Old Woman With Alopecia
31歳女性
主訴:びまん性の脱毛
現病歴:3か月前に気付いた。それから、髪の1/3くらいが減ってきた。
新しいシャンプーは使っていない。部分的な脱毛ではない。
体重減少なし、ストレスなし、大きな既往歴なし。
頭部視診ではシラミ、疥癬なし、外傷なし、抜毛症なし
食欲低下、体重減少、軽度倦怠感はあり
フケ用シャンプーを使ったが効果なし
既往歴:肥満、リンパ浮腫、全般性不安障害、パニック発作、偏頭痛、喘息
薬剤歴:アルブテロール吸入 アミトリプチン ガバペンチン ナラトリプタン オンダンセトロン ベラパミル、ブプロピオン
家族歴:姉妹に甲状腺疾患に関連する脱毛症
身体診察:非瘢痕性びまん性脱毛。紅斑なし、落屑なし、髪の太さの異常なし。
膿瘍、創傷なし。眉毛、まつ毛、体毛は異常なし。リンパ節腫脹なし、甲状腺異常なし。多毛・痤瘡なし。
脱毛は瘢痕性か非瘢痕性かに分けられる。圧倒的に非瘢痕性が多い。
瘢痕性脱毛の原因は腫瘍、水疱、放射線、薬品、苔癬など。
薬剤歴では、ガバペンチンは脱毛を引き起こしうる。
甲状腺は、可逆性な脱毛を引き起こすので有名。(眉毛が抜けるのは知ってたけど…)
頭髪が全般的に薄くなる。治療すると良くなる。
男性型脱毛は生涯にわたり女性の半数に影響を与えうる。
栄養障害による脱毛は、鉄、亜鉛、ビオチン、L-リシンの欠乏で起こる。
甲状腺の検査では異常なし。
追加の病歴聴取にて、月経がここ最近かなり重いことが判明。
鉄欠乏も脱毛を引き起こす。
検査をするとフェリチン低値。
ということで鉄欠乏によるTelogen effluvium(休止期脱毛症)と診断。
休止期脱毛症はびまん性脱毛症でもっともよくある原因。
何か大きなストレス(体重減少、妊娠、大きな病気、精神的なもの)をきっかけとして、
そのきっかけの約3か月後から始まる。
自然に治る疾患ではあるが、原因を取り除くことで治療可能である。