2015年7月13日月曜日

69歳男性:繰り返す意識混濁と発熱(Mayo residents' Clinic)



Mayo Clinic ProceedingsのResidents' Clinicです。
2013年4月の記事を読みました。
69-Year-Old Man With Recurrent Episodes of Confusion and Diaphoresis


69歳男性 繰り返す意識混濁と発汗

2年前より、発汗、動悸、意識混濁、発語不明瞭のエピソードが時々出現した。
食事摂取により症状寛解するため、食事摂取量増え体重2.7kg増加した。
有症状時の血糖は47mg/dl。
既往歴:高血圧、前立腺肥大、甲状腺機能低下症
家族歴:兄弟が2型糖尿病
現症:発熱なし、呼吸苦なし、脈拍75bpm、血圧130/85mmHg、BMI 28

Whippleの三徴が見られていますね。
①低血糖症状、②有症状時の低血糖、③血糖上昇で症状改善

原因がインスリンによるものなのかどうかをまず鑑別します。
インスリン243uIU/ml、Cペプチド2.8ug/ml、プロインスリン690pmol/l
というわけで内因性のインスリン依存性低血糖となります。
この場合、インスリノーマが最多の原因なので、CTを撮ったところ、正常とのことでした。

この場合の鑑別は、インスリン自己免疫症候群となります。
インスリン自己抗体が0.93nmol/lと高値のため、確定です。
3~6か月で自然軽快することが多い疾患です。
頻回少量の食事とαGI阻害薬(食後高血糖を防ぐ、ただ下痢など副作用強くであまり使えない)が治療の選択肢となります。
治療抵抗性ではステロイド、血漿交換の適応となります。

非入院患者の低血糖発作では、薬剤性とインスリノーマが2大鑑別です。
インスリン自己免疫症候群は、日本で多い疾患です。
自己免疫疾患、血液疾患、薬剤(抗甲状腺薬、カプトプリル、ヒドララジン、ペニシラミン)と合併することが多いです。