2015年7月26日日曜日

尿路閉塞について



膀胱がんや前立腺肥大による尿路閉塞によく出会うので、まとめてみました。

参照:UpToDate Clinical manifestations and diagnosis of urinary tract obstruction and hydronephrosis


・疼痛、尿量変化、高血圧、血尿のうち1つ以上の症状がみられることが多い。

・疼痛は急性発症であっても見られないことが多い。
・疼痛があれば、膀胱拡張、感染、結石や腫瘍を考える。
・水腎症に疼痛が見られる場合、結石、乳頭壊死、感染が併発している可能性が高い。

・尿量減少は、片側の尿管閉塞ではおこらない。尿道閉塞では完全な無尿となることは少なく、大抵は乏尿となる。
・部分的な尿路閉塞により、尿細管障害が起こり、尿量増加が起こることがある。
・ゆえに尿量が正常であっても尿路閉塞を否定できない。

・急性発症の片側尿路閉塞では、病側の腎でレニン分泌が亢進することにより、レニン‐アンギオテンシン‐アルドステロン系を介して高血圧を招くことがある。また、両側尿路閉塞や残腎の閉塞では、体液量過剰による高血圧が起こりうる。

・血液検査では、腎後性腎不全による血清クレアチニン値上昇が重症例でみられることがある。
・尿路閉塞を除外できる尿検査結果はないが、肉眼的血尿は悪性腫瘍や結石の存在を示唆する。
・慢性閉塞例で、高カリウム性の遠位尿細管性アシドーシスを呈することがしばしばある。

・水腎症の存在が常に尿路閉塞を意味するわけではない。尿崩症などで多尿になると、時に大きな水腎症を呈することがある。妊娠も軽度~中程度の水腎症を起こす原因となりうる。

・尿路閉塞を解消した後の経過は、閉塞の程度と期間によって異なる。尿管の完全閉塞では、一週間以内だとGFRは完全に回復することが多いが、12週以上経過しているとGFRはほとんど回復しない。部分閉塞の場合、予後予測は困難である。