血小板減少はもちろん出血のリスクになりますが、
ときに血小板減少と血栓が併発することがあります。
UpToDateで調べてみました。
Approach to the adult with unexplained thrombocytopenia
驚いたことに、血小板数と出血リスクの関係は判然としていないようです。
ITP患者での血小板数と出血イベントの関係を示したグラフがこちら。
これをみると、重篤な出血イベントは血小板数10万以下で多いですが
血小板数だけで出血イベントの予測はできないみたいです。
・同一の患者で、以前出血イベントが起こったときの血小板数
・粘膜などでの紫斑の存在
が出血を予測する因子となります。
たとえ原因疾患が同じでも、患者により出血を起こす血小板数は違うそうです。
むしろ、血小板の機能がどうかが大事です。
一方、血小板減少と血栓を同時に起こす疾患は以下の通りです。
・ヘパリン依存性血小板減少症
・抗リン脂質抗体症候群
・DIC
・TTP/HUS
・発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)
血小板減少、特にisolatede thrombocytopeniaの原因ですが、
上記の他には
慢性肝障害/脾機能亢進、先天性血小板異常、感染(ウイルス、敗血症、マラリアなど)、薬剤、アルコール(栄養欠乏、骨髄抑制、肝臓障害などによる)、悪性腫瘍、栄養欠乏(ビタミンB、銅など)
などがあります。
骨髄で異常がなかったisolated thrombocytopeniaの半数に肝硬変があり、
そのうちNASH(非アルコール性肝硬変)によるものが最も多いそうです。
偶発的に発見された無症状の血小板減少(10万~15万)の原因疾患は
ITP、肝障害、HIV感染、骨髄異形成症候群、時に先天性疾患となります。
ITPが疑われる場合は、HIVとHCVの検査をしましょうとあります。
抗血小板抗体の検査は不要です。
6ヶ月の経過観察で11%は正常化し、88%は特に何もなく経過します。
5年の経過観察で、64%の患者が特に何もなく経過する(PLoS Med. 2006;3(3):e24)ので、
何か疑わしい徴候などがなければ、診断に躍起になる必要はないかもしれません。
発熱、肝脾腫、神経学的所見、リンパ節腫大、血栓があれば注意です。