2015年7月6日月曜日

ヘパリン依存性血小板減少症



ヘパリン投与後に、血小板が下がり、かつ血栓傾向になることがあります。
Heparin Induced ThrombocytopeniaでHITと略されます。
概念自体は知っているのですが、普段意識していないと鑑別に上がってこないため、纏めてみます。

頻度は0.1~1%程度。低分子ヘパリンはリスクが低く、TKRなど整形手術や心臓手術を受けた人でリスクが上がります。

診断として有名なのが4Tスコアリング
6~8点:可能性高い 4~5点:可能性そこそこ 0~3点:可能性低い となります。

①Thromnocytopenia(血小板減少)
30%以下/最低値1万以下:0点
30%-50%/最低値1-1.9万:1点
50%以上/最低値2万以上:2点

②Timing
これまで使用歴がなく、投与後4日以内:0点
投与後14日以上経過、または31-100日の使用歴があり投与後1日以内:1点
投与後5-14日、または使用歴があり投与後1日以内:2点

③Thrombotic event
なし:0点
血栓の再発または進行、紅斑出現、血栓疑い:1点
血栓が新しく出現、皮膚壊死、ボーラス後の急性反応:2点

④oTher
他の原因がある:0点
他の原因があるかもしれない:1点
他の原因がない:2点

以上からわかるように、発症時期は投与後5-14日が多いですが、
投与後すぐになることもある(特に使用歴あれば)し、ヘパリンをやめてからなることもあります。

治療はヘパリン中止にくわえ、アルガトロバン投与→血小板が落ち着けばワーファリン併用→全身症状が治まればワーファリン単独です。
血栓のないHITなら治療期間は1週間、血栓のあるHITなら3ヶ月です。


しっかり鑑別を挙げて(TTP/HUS, DIC, septis,APLなど)しっかり治療しましょう。


参考文献:The Washington Manual of Medical Therapeutics 34th edition