2015年6月8日月曜日

drug-induced hemophagocytic lymphohistiocytosis



drug-induced hemophagocytic lymphohistiocytosis(薬剤誘発性血球貪食性リンパ組織球症)を疑う機会があったのでまとめます。

hemophagocytic lymphohistiocytosis(HLH)について
hemophagocytosis/hemophagocytic syndrome(血球貪食症候群)ともいいます。

原発性(家族性)と二次性に大別できます。
二次性はEBVやその他ウイルス感染によるものが多いです。
UpToDateの記事によると、他には若年性特発性関節炎などの自己免疫疾患やリンパ腫などの悪性腫瘍に続発します。

UpToDateに診断基準も載っていました。
遺伝子的な異常が証明できるか、以下のうち5つ以上当てはまれば診断するそうです。
38.5℃以上の発熱
脾腫
末梢血にて2系統以上の血球減少(Hb<9, Plt<10万, Neu<1000)
空腹時TG>265mg/dlまたはFibrinogen<150mg/dl
骨髄、脾臓、リンパ節、肝臓のいずれかで血球貪食像あり
NK細胞活性が低い
フェリチン500以上(3000以上ならより疑わしい)
sIL-2Rαが2SD以上


やはり大事なのは、HLHを疑うことだと思います。
臨床所見は以下の表がわかりやすかったので載せます(このサイトより引用)
どうも、皮疹は癒合傾向を伴う麻疹様発疹が多い印象です。



Lancetで2014年にレビューが出ています。
こちらのブログにて日本語でまとまってあります。

「血球貪食像=HPSと過剰診断しないことが重要である。
例えば輸血、感染症、自己免疫性疾患、各種骨髄障害、赤血球破壊などの病態でも血球貪食像は生じる。」

「血球貪食像は重症患者の剖検で実に64%にも認められる。」

あたりが大事だとおもいます。


さて、抗生剤や抗てんかん薬によりHLHが起こることがあります。
日内会誌 99:2832~2834,2010が詳しくてわかりやすいです。
以下の表はこの論文からの引用です。
DIHS(Drug-induced hypersensitivity syndrome)に似ていたり、併存していたりすることもあるそうです。両者の区別は困難なのかもしれません。



抗てんかん薬は重篤な過敏症状を起こすことで有名です。
総称してanticonvulsant hypersensitivity syndromeといいます。

3徴は皮疹、発熱、全身の臓器障害です。
芳香族の抗てんかん薬(フェニトイン、カルバマゼピン、ラモトリギンなど)で起きやすく、
また一度おこると他の芳香族抗てんかん薬でも起きやすくなってしまいます。
非芳香族(バルブロ酸、ベンゾジアゼピンなど)は比較的安全です。