2015年6月3日水曜日
大腸菌以外での尿路感染症
大腸菌による尿路感染症はよく遭遇するので
なんとなく全体像を描くことができます。
膀胱炎なら、熱が出ず頻尿、排尿時違和感・疼痛あり。
腎盂腎炎なら菌血症→エンドトキシンショックで頻脈、血圧低下、呼吸数増加。
しかし、大腸菌以外の菌による尿路感染症の病態を把握していないので
青木先生の成書(聖書)を参考にまとめてみました。
95%の尿路感染症は単一の起因菌により生じる
複雑性尿路感染症では、大腸菌以外の菌の可能性が比較的高い
具体的には、プロテウス, 緑膿菌、クレブシエラ、腸球菌
ここで、複雑性とは「合併症のない女性の尿路感染症」のことなので、
つまり、男性であればすべて複雑性、結石などあっても複雑性です。
Staphylococcus saprophyticus
性的に活発な女性で
Corynebacterium urealyticum
解剖学的異常が存在、抗菌薬使用の既往、尿アルカリ性(珊瑚状結石など)
カンジダ
膀胱カテーテル使用例で時にある。無症候性なら定着菌と判断
症候性膀胱炎、腎盂腎炎、好中球減少などあれば治療する
腸球菌
おおくは院内感染である
腸球菌の菌血症でショック・DICになることは稀
その場合は同時に感染している大腸菌・緑膿菌などによるものを考える
腎盂腎炎だと思って、けど治療がうまくいかないときは
起因菌や耐性菌について考えるのももちろんですが
前立腺炎、腎(周囲)膿瘍なども考慮する必要があります。
無菌性膿尿なら、最も多いのは(しばし不十分に)抗菌薬治療が始まった尿路感染ですが
虫垂炎など腸管感染症や後腹膜膿瘍、前立腺炎で無菌性膿尿をきたすこともあります。
結核や膠原病系なども鑑別に上がりますが実際は稀だと思います。
(NEJMのレビュー Sterile Pyuriaを参照)