2015年6月1日月曜日

高ナトリウム血症の補正



高ナトリウム血症の補正についてまとめてみました。
本当にざくっと調べただけです。間違い、不十分な点はご教授いただければ幸いです。


※症状のある場合、1時間で1mEq/L、24時間で12mEq/Lまでにおさめる。
※無症状の慢性高Na血症は、24時間で5-8mEq/L程度におさめる
※経口摂取可能ならなるべく口から水を飲むようにしましょう。


1Lの輸液で補正されるNa濃度は以下の式で計算できる。

∆[Na] = (輸液のNa濃度+輸液のK濃度-血清Na値)/(TBW+1)
(TBWは《男性》体重×0.5、《女性》体重×0.4で求める)


例えば、体重50kgの男性の血清Na値が160だとする。
ブドウ糖1L輸液すると

∆[Na] = (0+0-160)/(50×0.5+1) = -6.2
と計算でき、Naは160から154に下がると考えられる。


高ナトリウム血症すなわち自由水の欠乏であり、細胞内液の減少である。
ゆえに、細胞外液=循環血液量が減少している高ナトリウム血症では、
細胞外液=生食と、細胞内液=自由水の両方を補充する必要がある(ソルデム1輸液など)。

ソルデム1輸液はNa 90mEq/L, K 0mEq/Lなので、1L輸液すると
∆[Na] = (90+0-160)/(50×0.5+1) = -2.7
と計算でき、Naは160から157に下がると考えられる。
これで細胞外液も細胞内液も補充できる。


ただし、この計算式は便や不感蒸泄による水喪失を考えていない。
頻繁に値をチェックしながら調節していくことになる。

他にも、フロセミドを併用するなどの方法もある。成書参照。


参考文献:Washington Manual 34th edition