2019年6月3日月曜日
症例報告:Baker嚢胞破裂
この度,症例報告がJournal of General and Family Medicineに掲載されました!
Case Report
The crescent sign of ruptured baker's cyst
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/jgf2.261
診療所で遭遇したケースです。
特徴的な徴候からsnap diagnosisが可能ですが
「知らなければ思いつかない」の典型であり
患者が私の診療所を受診したときには発症後かなりたっていました。
鑑別にはエコーが大事、というのもポイントかと思います。
よろしければご一読いただければ幸いです.
2019年5月10日金曜日
活動報告:社会的バイタルサインで健康の社会的決定要因にアプローチする
全国の仲間と3年前から地道にやってきた活動を,Journal of General and Family Medicineに報告しました.
Letter to the Editor
Social vital signs for improving awareness about social determinants of health
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/jgf2.251
患者の社会背景を聴取し介入することが大事というのは
家庭医・総合診療医ならだれでもわかっていることです.
だけど,どうしたらいいかわからない.
多職種と協働しなくてはと思うけど,さてどうやってすればいいのか.
そのような疑問に,社会的バイタルサイン(Social Vital Signs: SVS)という概念を用いて答える内容になっています.
全国あちこちで行っているワークショップで,WONCA in Kyotoでも開催します.
この活動報告ははじめの一歩で,もっと実践と研究を積み重ねていきます.
2019年5月3日金曜日
症例報告:超高齢寝たきり患者に起きた消化管蠅蛆症
この度,症例報告がJournal of General and Family Medicineに掲載されました!
Case Report
Intestinal myiasis in a very elderly patient with inappropriate home care
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/jgf2.247
リンク先の写真は,まさに肛門に蛆がいる,という写真なので,もし見たくないという方はご遠慮ください(引きの写真しかなかったので,そこまで衝撃的ではないですが).
消化管蠅蛆症は日本でも戦後しばらくは山間部の外で遊びまわる児童を中心に発症していましたが,最近ではめっきり減り,世界的にもいわゆる途上国でときどき報告がある程度になっています.
そんな消化管蠅蛆症が都市部の寝たきりの超高齢者で起きた,というのがこの報告です.
Discussionでも書いていますが,超高齢寝たきりでの発症は最近の日本からの報告に限られており,日本における高齢化と不十分な医療福祉サービスの証左のように思えます.
よろしければご一読いただければ幸いです.
2019年4月16日火曜日
ヘモクロマトーシスのbeak sign (MKSAP)
初めて知ったので簡単にまとめます。
ヘモクロマトーシスは手関節や指関節の関節症を招くことがあります。
特徴は対称性かつ非炎症性であることで、さらに言えば第2、第3中手骨頭に変性が見られることがあるようです。
この時、変性した骨棘が鳥の嘴のように見えるため、hook signとかbeak signとか呼ぶようです。
さらに言えば、骨頭自体は四角形に変形するため、これをsquare-offというようです。
画像参照はこちら。
これは知らなきゃ絶対疑えないですね。
2019年4月12日金曜日
ぶどう膜炎を初発症状とするリンパ腫はあるのか
我ながらニッチですね.
故あって調べてみました.
ぶどう膜炎を初発症状とするリンパ腫にはどうやら3パターンありそうです.
1.網膜硝子体リンパ腫などの眼内リンパ腫が,最初ぶどう膜炎のように見える
このケースシリーズ研究によると,網膜硝子体リンパ腫は初発から診断がつくまでに平均25カ月かかっており,ぶどう膜炎だとしてステロイドを使うことで腫瘍がマスクされてしまうこともあるようです.
2. DLBCLの初発症状がぶどう膜炎
やはりぶどう膜炎が起こって1-2年後に全身性のリンパ腫が発覚するパターンです.
(参考文献はこちら)
3. 中枢神経原発悪性リンパ腫の初発症状がぶどう膜炎
中枢神経原発悪性リンパ腫の3.5%でぶどう膜炎が初発症状だったとのことです.
脳外科の中では有名な話なのでしょうか.いろんなサイトで言及されていました.
(参考文献はこちら)
2019年4月5日金曜日
社会的排除と社会的包摂
健康の社会的決定要因について学習を進めると
貧困に関する理論の変遷の歴史の中に突如「社会的排除」あるいは「社会的包摂」という概念が登場してきたことが分かります.
いままで字面だけ見て何となく理解した気になっていたので,
ちゃんと勉強しようと思いこの本を読みました.
戦後フランスにおける政治的主張に端を発し,EC/EUに持ち込まれた概念なのですね.
道理で突然登場するわけです.
社会的排除は貧困の一形態ととらえるべきか否かなど,これまでの国際的な議論を基に,筆者がわかりやすく自分の立ち位置を提示しており,いちいち納得しました.
社会学の概念を知ることで,日常診療に奥行きがでる,という体感は確かにあり,
目の前の患者で起こっていることを少しでも理解するためには,このような人文科学に立脚した知識,社会で起こっていることを直視したうえでそれをどのように乗り越えるかという議論は大事だと思うのです.
というわけで,しばらくこの分野については集中的に勉強しようと思います.
日本語の文献があるのはいいですね.さすがに英語では読む気が起こらないです.
2019年3月4日月曜日
プライマリケアにおける診断(part last)
Donner-Banzhoff N. Solving the Diagnostic Challenge: A Patient-Centered Approach.
Ann Fam Med. 2018 Jul;16(4):353-358.
かなり手ごわい論文ですが,病院から診療所勤務になって,診断があわないと悩んでいるときなどには,非常に有用な内容が含まれています.
結論:患者中心は割に合う!
患者中心が良質な家庭医療に不可欠な特徴であるとの主張は説得力があり,特にWcWhinney,Stewartとその同僚の言説がとりわけ有名である.(32,33)しかし,患者中心が人口に膾炙しているとは言えず,傾聴の欠如は医師の行動に対する批判の的として最もよくある部類のものだ.(34-36)効果的な関係性を構築することと診断を下すこととはお互い無関係のスキルだと思われがちであるが,この2つのタスクは相乗的なものであると強調したい.効果的な診断を患者との協働なしに達成するのは非常に困難である.診断的探究が行われるたびに,臨床上の問題空間内で新たな協働的適応が起こる.自らの利益となり,最終的に時間の節約にもなることが分かれば,プライマリケア医はみな問題探究の早期に患者を巻き込むようになるはずであり,このような診断戦略が私と同僚が帰納的渉猟と呼ぶものである.如何に医師が診断にたどり着くのかについての以上の説明は,プライマリケア診療に活気を与える以下のキーメッセージとして要約できる(表1).
表1:プライマリケアでの診断プロセスに関するキーメッセージ
・総合診療医のセッティングでは,存在しうる問題(診断)の問題空間はほぼ無限である.
・最近の研究が示唆する通り,すでに確立した描写やモデルは医師が診断にたどり着くために行っていることを十分に反映していない.
・帰納的渉猟と誘発されるルーチンによる問題空間の探索は,総合診療医のセッティングに適合可能な診断戦略として提唱されている.
・患者は上記の協働的プロセスにおいて中心的役割を担っている.
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