Wong SKW, Tan KB, Pang J, Wong V, Ng DWL, Tan DHY, Lim Z, Sundram M, Ng KMY, Lew YJ, Chong PN. Assessing 5-year outcomes of a teamlet care model in Singapore polyclinics: a matched difference-in-difference analysis. Ann Fam Med. 2026 Sep;24(5):405-412. doi:10.1370/afm.250635.
背景
シンガポールのポリクリニックでは、慢性疾患患者に対するケアの継続性と包括性を向上させるため、2014年に新しいteamlet(小規模チーム)型ケアモデルが導入された。患者は、家庭医2名、看護師1名、ケアコーディネーター1名からなる小規模チームに登録され、連携したチームベースのケアを受けた。本研究では、このモデル導入後5年間のアウトカムについて、臨床指標、ケアの遵守、医療サービス利用、経済的影響に焦点を当てて評価した。
方法
2014~2016年にteamletプログラムに登録された、糖尿病、高血圧、または高脂血症の患者を対象とした後ろ向きマッチドコホート研究を実施した。アウトカムを、通常診療を受けていたマッチングされた対照患者と比較した。シンガポール保健省のデータベースを用い、個人およびコホート・時点による固定効果を調整した差の差分析を行った。
結果
teamletモデルでは、臨床指標に小幅な改善が認められた。登録前にHbA1cが上昇していなかったサブグループでは、HbA1cが0.1%低下した。
収縮期血圧は0.65 mmHg低下した。LDLコレステロールは0.03 mmol/L低下した。一方、糖尿病スクリーニングの遵守率は改善し、対照群と比較して、足のスクリーニングが16%増加、眼のスクリーニングが6%増加した。医療サービスの利用はプライマリ・ケア側へシフトし、高コストの医療サービス利用が減少した。
入院:1人あたりSGD 2,432の費用削減
専門医外来:1人あたりSGD 130の費用削減
救急外来:1人あたりSGD 49の費用削減
一方、ポリクリニック利用費は1人あたりSGD 479増加した。
これらを合わせると、1人あたりの総費用はSGD 2,186削減された。
結論
ポリクリニックの人員配置を、より小規模で協働的なチームへ再編することで、ケアプロセスが改善し、高コストの医療サービス利用が減少した。これらの結果は、患者数の多いプライマリ・ケア環境においてチームベースのケアモデルを拡大することが、医療システム全体の効率性向上と費用削減につながる可能性を示している。
感想
チームベースのケアが費用対効果に優れていることを明確に示していると思います。プライマリ・ケアにかかるコストが少し増えても、全体として医療費は下がる、というのが素晴らしいですね。プライマリ・ケアに手厚く予算を配分したほうがいいですよと主張する根拠になります。こういうエビデンスがアジア圏からでるのは素晴らしいことだと思います。