2015年12月1日火曜日

急性冠症候群のprediction score


胸痛の救急患者さんに出会うと

「急性冠症候群じゃないよね」と常に不安が付きまといます。

もちろん、6時間おきに心電図とデータフォローというのが王道なのですが

もうちょっと自らの診断性能を高めたいと思っています。


JAMAのClinical Rational Examinationでこの話題があったので(JAMA. 2015;314(18):1955-1965.)
目を通したところどうやらTIMI scoreとHEART scoreが有用とのことだったので、調べてみました。


TIMI score (Thrombolysis in Myocardial Infarction Score)

・65歳以上
・リスクファクターが3つ以上
  (冠動脈疾患の家族歴、高血圧、脂質異常症、糖尿病、喫煙)
・冠動脈狭窄の既往(50%以上)
・7日間以内のアスピリン使用
・24時間以内に2回以上の狭心痛
・0.5mm以上のST変化あり
・心筋マーカー(CKMB, TropT)陽性

TIMI scoreが5-7点でLR+:5.2-8.9
0-1点でLR-:0.23-0.43となっています


HEART score

【病歴】非常に疑わしい:2点 そこそこ疑わしい:1点 あまり疑わしくない:0点
【心電図】著明なST低下:2点 非特異的再分極:1点 正常:0点
【年齢】65歳以上:2点 45-65歳:1点 45歳以下:0点
【リスクファクター】3以上:2点 1-2:1点 0:0点
【トロポニン】3倍以上:2点 1-3倍:1点 正常:0点

7点以上でLR+ 7.0-24
3点以下でLR- 0.13-0.30です。


救急の場で、しっかりリスク因子(冠動脈疾患の家族歴、高血圧、脂質異常症、糖尿病、喫煙)を聴取しないといけないのですね。