2015年12月11日金曜日

甲状腺結節(NEJM Clinical Review)


今週のNEJM Clinical reviewが甲状腺結節についてでした。
偶発的に見つけることがままあるので、まとめてみます。

・触知可能な甲状腺結節は人口の4-7%にみられる。
・癌は結節の8-16%を占める。
・無症状の患者100人にエコーをすると、22人に単結節、45人に多結節がみられる。

・亜急性甲状腺炎や橋本病が腫瘤を形成することがある。
・ヘモクロマト―シスや癌転移などの浸潤性疾患や種々の良性腫瘍は甲状腺結節の稀な原因である。

・甲状腺がんのリスクファクターは以下の通り:家族歴、放射線曝露歴、既往歴、男性、原子力事故の近隣住民

・良性の場合は大きさが比較的変わらない。
・組織学的に良性と診断された甲状腺結節を5年間フォローすると、拡大傾向が15%、縮小傾向が19%。5例(0.3%)が悪性と判明した。

・まずは病歴。上記のリスクファクターを念頭に。
・急速進行は悪性を疑うが、良性結節・嚢胞の出血も。
・嗄声、嚥下困難、前頸部不快感はRED FLAG。
・甲状腺がん、乳がん、大腸がんの家族歴あり、皮膚や粘膜に過誤腫があれば、Cowden症候群かも。他にも家族性に甲状腺がんを来す症候群はある。
・触診では硬さ、位置、大きさを確認。リンパ節腫大も合わせて確認。

・TSHは全例測定しよう。TSH低値でhyperfunctioning noduleなら甲状腺機能亢進症として治療となる。
・カルシトニンを全例測定するのは推奨されていない。

・エコーも全例検査しよう。低エコー、辺縁不明瞭、高さ>幅、微小石灰化は悪性所見
・1cm以上でエコーで疑わしい場合、1.5cm以上でエコーで否定的でない場合、2cm以上の場合は細胞診を。
・細胞診の偽陰性は5-10%ある。3cm以上なら偽陽性率11.7%(3cm以下なら4.8%)。

・細胞診の結果と将来の発がんリスクは以下の通り。



・細胞診で良性所見かつ臨床的、エコー的に疑わしくない場合は1-2年ごとにエコーをフォロー。
・少しでも疑わしい所見があれば6-12か月ごとにエコーをフォロー。
・50%以上の体積増加あるいは2つの次元で2mm以上増大があれば再度針生検。