2015年12月6日日曜日
CEA産生腫瘍/胆嚢摘出術後の総胆管結石
研修で生じた疑問をサクッと解決しちゃいましょうのコーナーです。
UpToDateに頼りきりですが、パパッとまとめます。
①大腸癌でCEAが高いと予後が悪いのか。
CEAが5.0ng/ml以上であると予後不良です。これはステージとは独立しています。
J Natl Cancer Inst. 2011;103(8):689によれば、27ヶ月間のフォローでCEA高値群の死亡率がHR 1.46-1.76で高値でした。
この傾向はどのステージでも見られました。
そして、リンパ節転移なしでCEA高値の群が、リンパ節転移ありでCEA正常の群と比べて死亡率が同じもしくは高い傾向が見られました。(HRで比較すると前者が1.48-2.09、後者が1.30-1.91)。
(以上、Pathology and prognostic determinants of colorectal cancerを参照)
なお、CEAは胃潰瘍や喫煙、加齢などでも上昇することがあります。
感度、特異度ともに高くないので、CEAのみを根拠に診断を行うのは無理です。
当然、大腸がん検診をCEAで行うのもアウトです。
話はそれますが、大腸がんの健診におけるUSPSTFの推奨は以下の通りです。
対象:50-75歳
方法
①便潜血検査を年1回
②10年ごとの大腸内視鏡
③5年ごとのS状結腸鏡+3年ごとの便潜血検査
大腸ポリープ診療ガイドライン2014では、6mm以上の大腸ポリープは切除適応で3年後フォローアップとなっています。
上の2つは、国内外の様々なガイドラインで推奨が異なります。
(参照:Hospitalist 外来における予防医療)
②胆嚢摘出術後の総胆管結石について
発生率は10%程度とのことです。結構多いのですね。
エコーは使えない(そもそも摘出術後は胆管拡張している)ので
胆石様の腹痛や肝酵素異常などで疑ったら、CTなどの検査をもちいます。
胆嚢摘出術後症候群(postcholecystectomy syndrome PCS)という概念があります。
症状としては、繰り返す持続的腹痛と消化不良です。
晩期に起こることもあり、結石再発、胆道狭窄、胆嚢遺残の炎症、胆道ジスキネジアなどが原因となります。
(以上、UpToDate Laparoscopic cholecystectomyを参照)