2015年12月19日土曜日
SMA症候群について
糖尿病→急激な減量→嘔気・嘔吐→SMA症候群
の疑いがあるケースを経験したので、SMA症候群について調べてみます。
基本的には近位小腸閉塞と一致した病状を呈します。
軽症だと食後心窩部痛や早期満腹感のみですが
進行すると嘔気、胆汁性嘔吐、体重減少を来します。
逆流性食道炎の症状が出ることもあります。
症状は腹臥位、左側臥位、膝胸位で軽快することもあります。
身体的ないし精神的疾患や手術後による体重の急激な減少が最も多いリスク因子です。
悪性腫瘍、吸収不良症候群、AIDS、外傷、熱傷が契機となることが多いです。
しかし、体重減少がなくてもSMA症候群を来すことがあります。
例えば側弯症の手術後(これをCast症候群といいます)などです。
診断が遅れると、嘔吐→電解質異常、胃穿孔、気腹症、門脈内ガス、十二指腸内石の原因となります。
鑑別疾患は以下の通り。
糖尿病などによる蠕動運動低下、膠原病、強皮症、慢性特発性腸偽閉塞
食道裂孔ヘルニアなど良くある消化不良、逆流の原因を検索する必要がります。
腸管アンジーナも似た症状を呈するので注意です。
画像検査では、十二指腸の閉塞、腹腔動脈とSMAの分岐角が25°以下、Treitz靭帯の異常、SMA起始部が低位などの所見に留意します。
治療は、胃管挿入(全例挿入と記載してあります)、電解質補正、栄養療法(鼻-十二指腸管やCVを考慮することも)です。ダメなら手術適応です。といっても効果はまちまちみたいですが。
参照:UpToDate Superior mesenteric artery syndrome