2015年4月16日木曜日

クロストリジウムディフィシル感染症(NEJM Review)



今週のNEJM Case Recordは胎便吸引症候群の原因についてでした。
今回はCase Recordのまとめはパス。そのかわり、Review Articleで知らなかったこと、へぇ~となったことを中心に箇条書きします。本文はこちら


Clostridium difficile Infection

・高齢、抗がん剤、重篤な基礎疾患は、毒素への対抗力を弱める。
・新生児の大多数はC. difficileのコロニーがあるが、毒素が結合する受容体が発現していないため発症しない。

・B1/NAP1/027という群が薬剤耐性が強く毒素も強い。

・ほぼすべての抗菌薬がリスクとなりうる。
C. difficile市中感染も問題になっている。比較的若年者に多く、抗菌薬曝露などのリスクファクターに乏しい。程度は比較的軽いが40%は入院を要する。

・PPIはC. difficile感染のリスクを上げるという意見もあるが実のところははっきりしない。
(すくなくともC. difficile感染の診断後は不必要なPPIは中断した方がいいと思います。doi:10.1001/jamainternmed.2015.42.)

・感染に関連した死亡率は5%、すべての原因を合わせた死亡率は15-20%。

WBC>15000、低Alb、急性腎不全があれば、Severe C. difficile infectionである。

・下痢患者で、酵素免疫アッセイかPCRアッセイのどちらかでも陽性なら治療開始。どちらも陰性なら、平均的なリスク集団においてNPV>95%。

・治癒患者でも症状治まってから数週~数月は試験は陽性に出る。
(The Society for Post-Acute and Long-Term Care Medicine(AMDA)が発表したChoosing Wiselyの10項目のうちの1つに、「治癒確認のためのC. difficile検査はしてはいけない」とあります)

・予防は感染防御と不必要な抗菌薬投与の削減
・治療はバンコマイシン経口が最も良いと考えられる。