2015年4月24日金曜日

NEJM Case13-2015



今週のNEJM Case Recordです。
Case 13-2015 — A 27-Year-Old Woman with Arthralgias and a Rash


【患者】タークスカイコス諸島で蚊に刺され、8日前に帰国した27歳女性
【主訴】関節痛、発疹

5日前:指関節、手関節、肩関節痛と、腰痛、頸部痛、眼の奥の痛み、39.0℃の発熱、悪寒、嘔気、食欲不振、咽頭痛、眼の充血、陰部潰瘍、舌側面の潰瘍、味覚低下、頸部と鼠径部の圧痛を伴うリンパ節腫大が出現。
4日前:右前腕にピンク色で無痛の痒疹(蕁麻疹様)が出現。そこから1時間で、体幹と四肢に広がる。
3日前:関節痛が肘、膝、足首、足趾にも。手首以遠の腫脹あり。歯磨き時に歯肉出血。夕方に発熱、頭痛、発疹が消失。
2日前~:関節痛以外の症状が消失。
当日:新たに痒い丘疹が出現。手掌から始まり上肢、体幹、下肢に広がる。足底にはない。

BT 36.4℃、HR 69bpm、BP 135/87、RR 18/min、SpO2 98%r/a
ターニケット試験陰性。腎機能、電解質正常。Hb 14.2、WBC 5600、Plt 10.7万、ALT 52、AST 46


なんとなくデング熱かチクングニア熱かなと思うのですが、症状の細かい違いは良く知りません。
潜伏期はこんな感じだそうです。


デング熱とチクングニア熱は似ていますが、明確に区別すべき病態です。
デング熱は、最初の発熱以降すっとよくなることもあれば、重症化する人もそれなりにいます。
チクングニア熱は、重症化は稀ですが、強い関節痛がずっと続くのが悩みの種です。

チクングニア熱に特徴的なものとして、低Ca、高CK、粘膜潰瘍や蕁麻疹などの皮膚病変、小~中関節を対称に侵す多関節炎などがあります。
実際は、渡航地の発生状況などを参考に検査を進めていくのがいいと思います。
本例では検査にてチクングニア熱の診断となりました。

実際の論文ではたくさんの鑑別診断について解説しています。
ぜひご一読ください。


~Clinical Pearls~

・発熱、関節痛、発疹をみたら、渡航歴を聴取すべき。

・デング熱は良くなりやすいが重症化もあり、チクングニア熱は症状続いて苦しいが致死性ではない。

・多様な発疹、粘膜潰瘍、浮腫と多関節炎をみたら、チクングニア熱の可能性が高まる。