2015年3月30日月曜日
坐骨神経痛のレビュー
NEJMに坐骨神経痛のreviewが載っていました。
へーと思ったところだけをまとめてみました。
図がきれいです。これだけでも理解が深まります。
坐骨神経痛は40-50歳代で多い
坐骨神経痛の85%は椎間板障害による。次に多いのは脊椎変形
L4、L5、S1、S2が坐骨神経を構成する
L4-L5またはL5-S1の障害が多く、L3-L4障害は比較的少ない
神経支配は下図の通り(http://asahi.co.jp/hospital/archive/kaisyo/youtsu/point/images/point_img_01.jpgより改変)
L4障害では股関節疾患と間違えられることがある
多くは片側性だが、ヘルニア、脊柱管狭窄症、脊椎すべり症では両側になることもある
ラセーグ徴候は、ヘルニアに対して感度90%だが特異度は低い
Fajersztajnテストは、ヘルニアに対して特異度90%だが感度は低い
(下図はhttp://images.slideplayer.es/3/1120870/slides/slide_31.jpgより一部改変)
原因としては圧倒的に脊髄関連が多いが、それ以外の原因を挙げる。
・梨状筋症候群 piriformis syndrome
特徴:局所的な臀部中部の疼痛、坐骨棘の圧痛、座位で疼痛増悪、股関節外旋など梨状筋にテンションをかけると疼痛誘発
ラセーグ徴候は半数のみで陽性
尻ポケットに財布その他を入れることによる坐骨神経痛が20世紀中ごろより見られだした。Credit-carditisというらしい。へぇー
・皮疹のない帯状疱疹 Zoster Sine Herpete
ヘルニアによる坐骨神経痛をさらに刺激する
・外傷
骨盤骨折、近位ハムストリング損傷後、神経の過度な伸展後など
筋内血腫や腱損傷は、重度の坐骨神経痛を引き起こすことがある
後方への股関節脱臼や大腿骨骨折で、神経が挟まれて痛みが起こることがある
臀部注射による障害もある
・産婦人科系問題
子宮内膜症で起こることがある。とくに右側に多い
卵巣嚢腫や妊娠後期の子宮による圧迫でおこることがある
分娩中の損傷でもおこる
無治療で、1/3の患者は2週間以内に、3/4の患者は3か月以内に症状改善
体を動かすことができるなら動かしたほうがいい
各種痛みどめで効果が確実なものはない
ヘルニアが原因の場合、手術をした方が早く痛みが良くなる
しかし、1年後の痛みや障害の程度は手術してもしなくても同じ
なので、手術を先延ばしにして痛みが良くなるかフォローするのは良いかも
もちろん、膀胱直腸障害があれば手術適応