2015年3月3日火曜日

SEID(旧:慢性疲労症候群)



AAFP(American Academy of Family Physicians)の昨日のNewsを読んで
そういや慢性疲労症候群の名称が変わったという論文をちょっと前に見たなと思いだしたので
軽くまとめてみます。

AAFP News(3/2)
Chronic Fatigue Syndrome: Renamed and Redefined

論文はこちら(2/21のLancet)
What's in a name? Systemic exertion intolerance disease



myalgic encephalomyelitis/chronic fatigue syndrome(ME/CFS)について
(Am Fam Physician. 2012 Oct 15;86(8):741-746.に基づく)

・6か月以上の重篤な疲労感
・運動後不快感、寝てもすっきりしない、記憶・集中力の喪失、筋痛、多関節痛、咽頭痛、リンパ節圧痛、新規頭痛のうち4つ以上があてはまる
(以上、CDC基準による)

・アメリカで200万人以上が罹患しており、多くは診断されていないと推定される。
・女性の頻度は男性の2倍。40歳以上で多い。

・原因は不明。EBV慢性感染によるとの説が最も有名。免疫系の異常があるのはほぼ確定。
・治療は認知行動療法と段階的な運動療法。効果が証明された薬物療法はない。

・ME/CFS疑い患者のRed Flag Signはこちら
胸痛 : 心疾患
局所神経症状 : 中枢神経の悪性腫瘍や膿瘍、多発性硬化症
炎症反応、関節痛 : 自己免疫性疾患(関節リウマチやSLE)
リンパ節腫大、体重減少 : 悪性腫瘍
息切れ : 呼吸器疾患


今回、systemic exertion intolerance disease(SEID)に名称が変更になりました。

理由はいろいろあるようだが
・診断のやり方がいろいろありすぎる
・名前が勘違いさせやすい(怠けているだけ、たいしたことないと思わせてしまう)
この2つが主だと思います。

新しい診断基準は以下の通り。すべて満たしたらOKです。

・仕事、教育、社会、または個人活動が罹患前の水準で行うことができない状況が6か月以上続き、さらに、ある日から疲労感(とても強いことが多い)も出てくる。疲労感は、運動のしすぎによるものでなく、休憩してもそんなに良くならない。
運動後の不快感がある
寝てもすっきりしない
認知機能が障害されている、立ったままでいられない、またはそのどちらも


診断されていないことが多いこの疾患、しっかり理解し記憶する必要がありますね。
さらに詳しくはこちらを参照ください。
Beyond myalgic encephalomyelitis/chronic fatigue syndrome Redefining an illness


患者さんの生の声(↑リンク先より引用)を今回のパールとします。


~Clinical Pearls~

“When I do any activity that goes beyond what I can do—I literally collapse—my body is in major pain. It hurts to lay in bed, it hurts to think, I can't hardly talk—I can't find the words.”

“ I feel my insides are at war.”