2021年8月16日月曜日

プライマリケアでのCOPD予後予測

 Alameda C, Matía ÁC, Casado V. Predictors for mortality due to acute exacerbation of COPD in primary care: Derivation of a clinical prediction rule in a multicentre cohort study. Eur J Gen Pract. 2021 Dec;27(1):211-220. doi: 10.1080/13814788.2021.1959547. PMID: 34355618; PMCID: PMC8354163.

https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/13814788.2021.1959547?af=R


背景

プライマリケア(PC)で、慢性閉塞性肺疾患の急性増悪(AECOPD)の80%が治療されていると言われている。しかし、GPがこれらの患者について意思決定を行う際に役立つ、PCで使用するための予測モデルは導き出されておらず、検証もされていない。


目的

PCの最終受診日から30日後のあらゆる原因による死亡率の臨床予測ルールを導き出すこと。


方法

2013年12月から2014年11月にかけて、スペインの148の医療機関でAECOPDの治療を受けた40歳以上の人を対象にコホート研究を行った。患者の人口統計学的変数、過去の病歴、徴候、症状を記録し、ロジスティック回帰モデルを導き出した。


結果

解析には、1,696例のAECOPDが含まれ、17例(1%)が追跡調査中に死亡した。過去12ヵ月間の増悪、年齢、心拍数に基づいて、臨床予測ルールが導き出され、ROC曲線下面積は0.792(95%信頼区間、0.692-0.891)で、良好なキャリブレーションが得られた。


結論

このルールは,患者をリスクの高い3つのカテゴリーに分類し,低リスクの患者はPCで管理し,高リスクの患者は病院に紹介し,中リスクの患者は他の基準を考慮して意思決定を行うという,カテゴリーごとに異なる行動を医師に提案するものである。これらの結果は、複雑なデバイスを使用せずに、AECOPDによる死亡リスクを正確に推定することが可能であることを示唆しています。この予測ルールが臨床現場で使用されるようになるには、外部検証と影響評価に関する今後の研究が必要である。


感想

スコアリングはめちゃ簡単。

EXAGGERATEスコア(EXacerbations suffered in the last 12 months of age, the AGE, and the heart RATE)

①過去12か月の増悪回数:1回あたり1点。

②年齢:75歳以上で1点

③心拍数:100回以上で1点

低リスク:0-1点、中リスク:2-3点、高リスク:4点以上と分類

低リスクならプライマリケアで管理、高リスクなら病院に紹介、という推奨。

プライマリケアセッティングで作成されたスコアリングなので使いやすそうです。

外的妥当性の検証はまだなので注意が必要です。日本での妥当性を確認したいですね。