Gerend MA, Bradbury R, Harman JS, Rust G. Characteristics Associated with Low-Value Cancer Screening Among Office-Based Physician Visits by Older Adults in the USA. J Gen Intern Med. 2021 Aug 11. doi: 10.1007/s11606-021-07072-1. Epub ahead of print. PMID: 34379279.
https://link.springer.com/article/10.1007%2Fs11606-021-07072-1
背景
一定の年齢を超えると、がん検診は高齢者に不必要な有害性をもたらし、有益性は限られ、医療資源の非効率的な使用となる可能性がある。
目的
USPSTFが設定した、がん検診を定期的に行うべきでない年齢の基準を超える高齢者における子宮頸がん、乳がん、大腸がんの検診の頻度を推定し、価値の低いがん検診に関連する医師および患者の要因を明らかにすること。
デザイン
米国の診療所医師の診察を対象とした全国代表的な確率サンプルであるNational Ambulatory Medical Care Surveyの横断的データ(2011~2016年)をプールした観察研究。
対象者
子宮頸がん検診と乳がん検診の分析は、それぞれ65歳以上の女性(N=37,818)と75歳以上の女性(N=19,451)の受診に限定した。大腸がん検診の分析は、75歳以上の患者の受診に限定した(N=31,543)。
主な測定
USPSTFの年齢基準を用いて低価値と分類されるがん検診
主な結果
2011年から2016年の間に、潜在的に価値の低いパップスメア、マンモグラフィ、および大腸内視鏡/シグモイドスコープが、それぞれ推定で年間509、507、273,000件行われていた。価値の低い子宮頸がん検診は、年齢の高い患者の受診では(若い患者とくらべ)発生しにくかった。非ヒスパニック系白人、非ヒスパニック系黒人、ヒスパニック系以外の人種・民族の女性の受診では、非ヒスパニック系白人女性の受診と比較して、低価値な子宮頸がん検診および乳がん検診の実施率が低かった。産婦人科医は、家庭医やGPと比較して、価値の低いパップスメアやマンモグラムを行う傾向があった。
結論
米国では、ガイドラインの基準を超えた年齢での子宮頸がん、乳がん、大腸がんの検診が毎年何千件も行われている。このパターンが、臨床的惰性clinical inertiaや以前の検診方法の廃止に対する抵抗を表しているのか、あるいは、医師や患者が、エビデンスに基づくガイドラインを書いている専門家が推奨するよりも、これらの検査に高い価値を感じているのかを理解するには、さらなる研究が必要である。
感想
テーマがいいですよね。低価値ながん検診、私もしてるなぁと。ただ、日本の医療体制を考えると、USPSTFの推奨はあまりに厳しいと思ってしまいます。