2021年8月5日木曜日

入院患者の医療者への信頼の構造

Gregory ME, Nyein KP, Scarborough S, Huerta TR, McAlearney AS. Examining the Dimensionality of Trust in the Inpatient Setting: Exploratory and Confirmatory Factor Analysis. J Gen Intern Med. 2021 Jun 2:1–7. doi: 10.1007/s11606-021-06928-w. Epub ahead of print. PMID: 34080110; PMCID: PMC8172002.

https://link.springer.com/article/10.1007%2Fs11606-021-06928-w

背景

医療従事者への信頼は重要な転帰と関連しているが、これまでは主に外来で評価されてきた。入院中の患者が医療従事者に対する信頼をどのように考えているのかはほとんど知られていない。

目的

入院患者の信頼感を表す尺度の次元性を検討する。

デザイン

探索的因子分析(EFA)および確認的因子分析(CFA)。

対象者

米国中西部の6つの病院の入院患者(N = 1756、回答率76%)。サンプルは無作為に分割され、約半分がEFAに、残り半分がCFAに使用された。

主な測定項目

医師への信頼感尺度を入院治療用にアレンジしたもの。

主な結果

Kaiser-Guttman基準と並行分析により、EFAは結論に至らず、このサンプルでは信頼が1つまたは2つの因子で構成されている可能性が示された。フォローアップCFAでは、カイ二乗差検定(Δχ2 = 151.48(1), p < 0.001)と比較適合度指数(CFI)差検定(CFI差 = 0.03)により、2因子モデルが最も適合した。2因子CFAモデルの全体的な適合度は良好であった(χ2 = 293.56, df = 43, p < 0.01; CFI = 0.95; RMSEA = 0.081 [90%信頼区間 = 0.072.090]; TLI = 0.93; SRMR = 0.04)。項目は、信頼の認知的側面(患者が医療従事者を有能と見なしているかどうか)と感情的側面(患者が医療従事者を気遣っていると見なしているかどうか)に関連する2つの因子にロードされた。

結論

外来患者における信頼の尺度は一次元的なものとして検証されてきたが、入院患者の場合、信頼は認知的信頼と情動的信頼の2つの要素から構成されているようである。このことは、入院患者の信頼を得るためには、入院患者が自分を有能で思いやりのある人物と見なすように努力する必要があることを示す最初の証拠となる。

感想

セッティングの違いによる患者の医療者への信頼の構造の相違を示唆する研究.認知的信頼と情動的信頼,と分かりやすく言語化されると,イメージがつきやすいです.因子構造を適切に分析すると、言い得て妙なカテゴライズができるものなのですね。