2016年4月6日水曜日

安定している狭心症


NEJMのレビューをまとめます。

Chronic Stable Angina
E. Magnus Ohman, M.B.
N Engl J Med 2016; 374:1167-1176


狭心症のポイントは「予後の評価」です。

・症状の重症度はCanadian Cardiovascular Society Grading Scale of Angina (CCSスケール)で評価する
Class 1:通常の身体活動では症状なし
Class 2:通常の身体活動がわずかに制限される
Class 3:通常の身体活動が著明に制限される
Class 4:僅かな身体活動でも症状が出現する

・リスクファクターを同定し介入することで予後を改善させることができる
喫煙、脂質異常症、高血圧、高血糖

・重大な冠動脈疾患のリスク因子は以下の通り
胸痛の正常、年齢、性別、喫煙状態、糖尿病・脂質異常症の存在・心電図変化

・first lineは負荷心電図

・診断したら、すぐにアスピリン投与開始
・血圧は120/85以下に
・スタチンも開始
・当然、生活指導も
・有症状時のニトロを渡しておく。3回飲んでも症状がおさまらなければ病院受診。

・脈拍60以下、血圧100/80以下は緊急処置が必要。
・安定時の治療はβブロッカー、Caチャネルブロッカー、長期間作動型硝酸薬となる。
・2剤以上組み合わせるのがよい。第一選択はβブロッカー
・ただし、RCTだとβブロッカー単剤より効果的に症状を減らす組み合わせはない
・副作用・禁忌は以下の通り

硝酸薬
頭痛、ほてり、低血圧、失神、起立性低血圧、反跳性頻脈、メトヘモグロビン血症
禁忌:閉塞性肥大型心筋症

βブロッカー
疲労、抑うつ、徐脈、房室ブロック、気管支攣縮、末梢血管収縮、起立性低血圧、勃起障害、低血糖症状がでにくい
禁忌:徐脈、心伝導障害、喘息、末梢血管障害 COPDには注意して処方

Caチャネルブロッカー
徐脈、房室ブロック、心機能低下、便秘、歯肉腫脹、頭痛、浮腫、紅潮、反跳性頻脈
禁忌:重度AS、閉塞性心筋症、徐脈、心機能低下


・カテで造影するかと、再開通するかは、別のものとして考える
・内服で十分に症状がコントロール的ないor副作用で続けられないなら、再開通を。
・患者全体の半数は再開通が適していることになる。