2016年4月26日火曜日
被災地支援報告
本日より現地に入り支援をしております。
見たこと、聞いたことをまとめておきます。
あくまで私個人の経験、伝聞です。また、被災地の状況は刻々と変わります。その旨ご了承ください。同時期に支援に入った上級医の記載も参考にしております。
①病院外来
外来救急は上気道感染、尿路感染が多い。治りが悪い印象。
避難所にいる高齢者の認知症が悪化し避難所に居づらい、埃っぽくドアが開けっ放しなので風邪が悪化した、認知症や精神疾患のある方が、避難生活が長くなって体調を崩している、という様子が聞き取れる。
かかりつけがなくなって薬がない人も。慢性疾患が増悪している。血圧が高くなったり、炊き出しのご飯で血糖コントロールがわるくなったり。
総合的な力を発揮できる医師が必要。
②避難所
避難者は直後は15万人、現在は5万人ほど。
体育館など建物内だけではなく、車中泊、テント泊が多いのが特徴。2日前にテントが設置され、それまで10日間ほど車中泊していた方がようやく足が伸ばせたとの声があったた。
ペットOKのテントもある。
テント、車中泊がおおいため、誰がどこにいる、どこに医療支援の必要な人がいるかの把握が困難。また、夜だけ車中泊、日中は仕事していて支援者の見回りの時には不在というケースも多い。
今日は最高気温28℃と、日中のテント内は暑い。夜勤帯の業務のため昼はテントで寝ているという人もいるが、暑くてねれないとのこと。
発電機の騒音が一日中する、夜も灯りで眩しいなどの意見も。
私が聞き取っただけで、テント内に虫がいて咬まれた、家にコルセットを置いてきて腰が痛くで動けない、ずっと飲んでいた抗不安薬の手持ちがない、被災しながら休まず仕事をしている夫を不安に思っている、夜に喘息発作が出る、という声があった。また、もともと精神的に脆弱であった方に強い症状が出たケースもあり、適切な団体に繋いだ。
③地域訪問
全壊、半壊世帯が集中している。道路が波打っていたりもする。電線が破損しているところがあるなど、危険な地域も。
ゴミ処分場がないのが問題。被災ゴミを捨てる場所がなく、家の中が片付かない。道路脇にゴミが積まれており、場所によっては異臭がする。日中は家で、夜は庭の車で、という生活形態の方もいる。自主避難、自宅避難者の拾い出しと介入が課題。
④現地職員
車中泊、避難所暮らしをしながら医療支援を行っている職員も。現地職員の疲労はピークに達しておる。いかに現地職員に休息を確保することができるかが鍵。
⑤支援の課題
短期間で支援者が入れ替わる場合、情報の引き継ぎが非常に重要。すべてを支援団体本部に集めるのも大事だが、現地本部は忙殺されており的確な情報共有が困難なこともある。支援者は、お願いされたことを諾々と、提案は控えめに、というスタンスが大事。間違っても現地職員を責めないように。
また、現地では様々な団体が動いている。少し窮屈に感じることも。ある程度仕方がないと考え、情報共有を綿密に行うことが肝要。
日焼け止めを塗らずに外にいたらがっつり肌が赤くなりました。今後支援に入る方は、お気をつけください。