2016年4月18日月曜日
糖尿病性末梢神経障害
糖尿病性末梢神経障害が疑われるが他の疾患の可能性もある方をマネジメントしていて
ちょうど今週のNEJMでレビューが出ていたのでさっそく読みましたが
大雑把な記載であまり参考になりませんでした…。
(メトホルミンでビタミンB12欠乏になるから鑑別に入れるようにとの指摘はなるほどと思いました。)
(抗てんかん薬、TCA、SSRIなどの薬剤は疼痛緩和目的なのですね。)
神経疾患に出会った際にいつもお世話になっている教科書に
詳しい記載がありましたので
まとめてみます。
①sensory or sensorimotor polyneuropathy
いわゆる手袋靴下型。最もなじみのあるタイプ。
感覚障害優位で、腱反射は低下する。
dysesthesiaが強い。進行すると下肢遠位部優位に筋力低下・筋委縮。
②autonomic neuropathy
見逃しやすいタイプ。下痢、胆嚢機能障害、勃起不全、起立性低血圧、直腸膀胱障害など
低血糖の症状が自覚できないのも症状の一つ。
③cranial mononeuropathy
典型例:外眼筋麻痺+瞳孔は正常、一側性、急性発症、1-2カ月で自然回復
外転神経障害をきたすことも。
顔面神経麻痺をみたらヘルペスウイルスの関与を疑う。
④symmetric proximal lower limb motor neuropathy
ここら辺からなじみのないタイプになってきます。
ただ、今私が出会っているのはこのタイプかもしれません。
50歳以上のコントロール不良患者
慢性・対称性の下肢近位の筋萎縮・筋力低下
①と合併していることが多い。
厳格な血糖コントロールで改善する。
⑤asymmetric lower limb motor neuropathy
50歳以上の長期罹病患者
突然発症、1-2日で症状完成
一側大腿四頭筋、大内転筋の筋力低下・筋萎縮
保存的加療で徐々に改善
④⑤を合わせてdiabetic amyotrophyという
⑥trunk and limb monomeuropathy
50歳以上の長期罹病患者
肋間神経や体幹・四肢の神経幹の障害
非常に強い痛み
狭心症、急性腹症と間違えられることも
予後良好だが数年症状が続くことも
また、インスリン治療で血糖コントロールが急速に改善した場合に末梢神経障害が起こることがあります。
こちらの本に症例が載っていました。
post-treatment neuropathyは、もともと神経障害が軽度の患者に起こりやすいそうです
有痛性で夜間に増悪、アロディニアも来しますが、1年以内に自然軽快するようです。