2020年5月21日木曜日
薬原性錐体外路症状評価尺度(DIEPSS)
家庭医でも,抗精神病薬を処方するケースはままあります.
錐体外路症状に注意,という知識は当然ありますが,
具体的に何に注意したらいいのか,というと,あまり自信はなく…
薬原性錐体外路症状評価尺度(Drug-Induced Extrapyramidal Symptom Scale: DIEPSS)では,9つの徴候をそれぞれ5段階で評価します.
・歩行 Gait
小刻みな遅い歩き方.速度の低下,歩幅の減少,上肢の振れの減少,前屈姿勢や前非右突進現象.
・動作緩慢 Bradykinesia
動作がのろく乏しい.動作の開始または終了の遅延または困難.顔面の表情変化の乏しさ(仮面様顔貌).単調で緩徐な話し方.
・流涎 Sialorrhea
唾液分泌過多
・筋強剛 Muscle rigidity
上肢の屈伸に対する抵抗.歯車現象,蝋屈現象,鉛管様強剛,手首の曲がり具合.
・振戦 Tremor
口,手指,四肢,躯幹の4-8Hzのリズミカルな運動
・アカシジア Akathisia
静坐不能.下肢のムズムズ感,ソワソワ環,絶えず動いていたいという衝動などの内的不穏症状とそれに関連した苦痛.運動亢進症状(身体の揺り動かし,下肢の振り回し,足踏み,足の組み換え,うろうろ歩き).
・ジストニア Dystonia
筋緊張の異常な亢進.舌,頸部,四肢,躯幹などの筋の捻転やつっぱり.持続的な異常ポジション.舌の突出捻転,斜頸,後頸,牙関緊急,眼球上転,Pisa症候群
・ジスキネジア Dyskinesia
運動の異常な亢進.顔面,口,舌,顎,四肢,躯幹の他覚的に無目的で不規則な不随意運動.舞踏病様運動.アテトーゼ様運動を含む.振戦は評価しない
・概括重症度 Overall severity
以上の項目はしっかり覚えておくべきですね.
着眼点が分かると,わずかな異常を見落とす確率が下がりそうです.