2018年7月25日水曜日
ACP Journal Club(19 June 2018)
ACP Journal Club 19 June 2018
箇条書きでまとめます.
・オピオイド使用障害の治療はstepped treatment approachで.
コメント:アメリカだと社会問題になってますね.
・急性脳梗塞の早期マネジメントに対するAHA/ASAの推奨
コメント:発症6-16時間以内の前方循環大血管閉塞なら血管内治療で血栓除去が適応になる可能性があります.DAWN studyとDEFUSE 3 studyの成果ですね.あとは血圧<220/120だと発症48-72時間以内は降圧しないとか,早期にアスピリンとか,至って当たり前のことが書かれています.
・重篤な慢性腰痛/膝痛/変形性股関節症に対して,非オピオイドとオピオイドでベネフットは同様で,非オピオイドの方が副作用が少ない.
コメント:アメリカのオピオイド使い過ぎ問題に対する1つの警鐘ですね.
・喘息発作時にICSの容量を4倍にすれば急性増悪を防ぐことができる。
コメント:患者が自宅でできる喘息増悪予防の指導ですね。こういうお金のかからない介入法はありがたいです。HR 0.71-0.92。
・冠動脈多枝病変+糖尿病では、CABGのほうがPCIより治療予後が良い。ただし糖尿病被合併だと変わらない。左枝主幹部病変でも変わらない。
コメント:直接かかわることはない分野ですが、CABGの積極的適用の範囲が広がっているのですかね。
・大うつ病の成人患者では、抗うつ薬はプラセボより短期間での治療反応率が高くなる。
コメント:「大うつ病の成人患者」という点に注意でしょうか。今主に勤務している環境は精神科医にすぐ相談できるので助かります。
・ヒドロコルチゾン+フルドロコルチゾンは敗血症性ショック患者の90日死亡率を減少させる。ヒドロコルチゾンだけでは死亡率は減少しない。
コメント:いろんなところで話題になった研究ですね。本文のコメントにもありましたが、これをもって全例コルチゾンとはならないようです。
・COPD患者で高容量ICSの長期使用は骨折リスクを高くする。
コメント:4年以上のフルチカゾン換算1000ug/day以上の使用でリスクが上昇する。ただしRR 1.02-1.18。そもそもCOPDでICSの出番は稀なはずですね。choosing wiselyです。
・太極拳は有酸素運動と比べて線維筋痛症患者の症状を緩和させる。
コメント:なぜかいろんな研究が大好き太極拳。オリエンタルな感じがよいのでしょうか。いまいる地域に太極拳サークルあるのかなぁ。
2018年7月18日水曜日
読書録:これからのコミュニティのあり方について
あまりなじみがない分野の本ですが、コミュニティの在り方についてイメージを抱くのにはうってつけですね。
深く読み込むとおうより、さらっと流し読みしてふんふんそんな考え方があるのかと発見するための本かなと思います。
2018年7月12日木曜日
読書録:社会疫学と総合診療 (ジェネラリスト教育コンソーシアム)
遅ればせながら、出張の機内で読了。
社会疫学の知見を日常診療に実装するための理論と実際を知り深めるために重要な論文集です。
自らの日常診療を振り返り、到底足元にも及ばないなと言う忸怩たる思いと、
社会疫学についてもっと学習しなければという焦りを抱きました。
研究を進めていく上でのリファレンスとしても有用だとおもうので、さらに勉強していくとっかかりになります。
ラベル:
social,
プライマリケアとは何か,
公衆衛生,
社会疫学
2018年7月8日日曜日
家庭医療の気になる論文(BMC Family Practice)
直近のBMC Family Practice 掲載論文がわりとどれも胸キュンだったので.
Formative evaluation and adaptation of pre-and early implementation of diabetes shared medical appointments to maximize sustainability and adoption
糖尿病患者に対するプログラムを実際にプライマリケアに実装するにあたり,本当に思い通りになるのか,実装する際にどのような障壁があるのかをConsolidated Framework for Implementation Research (CFIR)で探索した研究.
Backgoround内の一文
We illustrate the role and importance of pre-implementation interviews for guiding ongoing adaptations to improve implementation of a clinical program, achieve optimal change, and avoid type III errors.
が,この研究の意義を端的に言い表しているように思います.
なお,Type Ⅲ errorとは,「誤った疑問に正しい答えを出す」エラーのことだそうです.うっ,胸が痛い.
CFIRについてはこちら.まだちゃんと理解できていません.
Multimorbidity patterns with K-means nonhierarchical cluster analysis
最近,Multimorbidityの疫学研究というか,どんなパターンがあるのかを突きとめる研究をよく目にします.
解析方法は私には難しいので割愛.このような疫学データを基に各パターンごとの適切な介入策などが論じられていくのでしょうか.
Colorectal cancer and screening awareness and sources of information in the Hungarian population
大腸がんとそのスクリーニング法について適切な情報を得ている人は非常に少ない.特に,教育年数が短く,若い男性で,都市居住でない場合は,適切な情報を持っていないことが多い.
SDHの観点からも重要な論文ですが,なによりこのResearch Questionを立てたことが素敵.
Development of an evidence-based brief ‘talking’ intervention for non-responders to bowel screening for use in primary care: stakeholder interviews
非常にざっくり説明すると,大腸がん検査受けてねーといわれたのに受けなかった人(non-responder)を対象として,Brief-Interventionを開発し,各ステークホルダーの意見を聞いてみたという研究.non-responderが「全人的に診てほしい」「もっと患者を参加させて」と言っているのは興味深いですね.これもResearch Quesionが秀逸です.スクリーニングを推奨するだけでなく,実際にどうやったら受けてもらえるかを探索しています.
Patient safety and safety culture in primary health care: a systematic review
第一歩は,患者安全に関連する観点の基本的な理解を医療従事者にしてもらうところから,という結論です.
2018年7月4日水曜日
健康格差,話題です.
日本プライマリ・ケア連合学会が
健康格差に対する見解と行動指針
を発表しましたね.
健康の社会的決定要因と健康格差に関心を持つものとして
心から嬉しく思うのと同時に
ここからスタートだなという気持ちです.
健康の社会的決定要因を臨床現場に実装する手法の開発普及
ここ1年半くらい取り組んでいることです.
(今年の学会でポスター発表しました.「健康の社会的決定要因を臨床現場に実装する:社会的バイタルサイン(SVS)を用いた患者評価の手法」)
家庭医療学夏期セミナーでもワークショップ出しますよ.
8/4(土) 16:25-18:25
【2C】患者さんの「困った」に多職種でアプローチしよう ~「健康の社会的決定要因」を活用した問題解決の方法~
全国から集まったメンバーで進めている活動ですが
現在の僕の役割は理論武装だと考えているので
エモーショナルな部分やクリエイティブな部分はほかの方に任せて
がしがし本読んで論文読んで学術的な貢献をしていきたいです.
一応宣伝.
翻訳に携わりました.手に取っていただければありがたいです.
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