2018年7月8日日曜日
家庭医療の気になる論文(BMC Family Practice)
直近のBMC Family Practice 掲載論文がわりとどれも胸キュンだったので.
Formative evaluation and adaptation of pre-and early implementation of diabetes shared medical appointments to maximize sustainability and adoption
糖尿病患者に対するプログラムを実際にプライマリケアに実装するにあたり,本当に思い通りになるのか,実装する際にどのような障壁があるのかをConsolidated Framework for Implementation Research (CFIR)で探索した研究.
Backgoround内の一文
We illustrate the role and importance of pre-implementation interviews for guiding ongoing adaptations to improve implementation of a clinical program, achieve optimal change, and avoid type III errors.
が,この研究の意義を端的に言い表しているように思います.
なお,Type Ⅲ errorとは,「誤った疑問に正しい答えを出す」エラーのことだそうです.うっ,胸が痛い.
CFIRについてはこちら.まだちゃんと理解できていません.
Multimorbidity patterns with K-means nonhierarchical cluster analysis
最近,Multimorbidityの疫学研究というか,どんなパターンがあるのかを突きとめる研究をよく目にします.
解析方法は私には難しいので割愛.このような疫学データを基に各パターンごとの適切な介入策などが論じられていくのでしょうか.
Colorectal cancer and screening awareness and sources of information in the Hungarian population
大腸がんとそのスクリーニング法について適切な情報を得ている人は非常に少ない.特に,教育年数が短く,若い男性で,都市居住でない場合は,適切な情報を持っていないことが多い.
SDHの観点からも重要な論文ですが,なによりこのResearch Questionを立てたことが素敵.
Development of an evidence-based brief ‘talking’ intervention for non-responders to bowel screening for use in primary care: stakeholder interviews
非常にざっくり説明すると,大腸がん検査受けてねーといわれたのに受けなかった人(non-responder)を対象として,Brief-Interventionを開発し,各ステークホルダーの意見を聞いてみたという研究.non-responderが「全人的に診てほしい」「もっと患者を参加させて」と言っているのは興味深いですね.これもResearch Quesionが秀逸です.スクリーニングを推奨するだけでなく,実際にどうやったら受けてもらえるかを探索しています.
Patient safety and safety culture in primary health care: a systematic review
第一歩は,患者安全に関連する観点の基本的な理解を医療従事者にしてもらうところから,という結論です.