2016年5月27日金曜日

BPPVのピットフォール



BPPVは急性発症のめまいで救急搬送される方の大多数を占めます。
非常にcommonな病態では、稀なピットフォールもしっかり押さえておきたいです。
中枢性との鑑別はもちろん大事。その中でもみおとしそうなものを。

まず、背景知識から。

・後半規管型(60-70%)の所見
Dix-Hallpike test:座位から右(左)下懸垂頭位に変換して回旋性眼振が出現
眼振出現時に下になっている方向=回旋の方向が患側です

治療はEpley法。ただ、処置室では気分悪くてそれどころではないという方がとても多いです。
座位→患側下懸垂頭位→健側下懸垂頭位→健側臥位→座位 それぞれめまいが止まるまで保持


・外側半規管型(30%)の所見
Supine-roll test:仰臥位で右下頭位→左下頭位にすると方向交代性眼振が起こる
患者は自然に健側下頭位、健側臥位になっており、それがそのまま治療法になる(Vannucchi法)


・前半規管型(1%)は後半規管型と所見が似ていて、治療も同じなので、省略します。


そこで、pitfall。

外側半規管型に似た中枢性めまいがあります。小脳梗塞などが原因です。
Central paroxysmal positional nystagmus(CPPN)といいます。

鑑別点は以下の通り
・頸部進展(座位→仰臥位)で下方向性眼振
・頸部屈曲(仰臥位→座位)で上方向性眼振

じっと側臥位で寝ている→supine-roll testをして方向交代性眼振がある→じゃあ外側半規管型BPPVかな→まてよ、CPPNを除外しておこう→座位⇔臥位の変換で垂直性眼振がある!→小脳に病変があるぞ!
というパターンでしょうか。


参考文献
Hospitalist~病院総合診療医~ 2015.6.3 Central paroxysmal positional nystagmus
救急外来ただいま診断中