2016年5月24日火曜日

ドライアイについて(BMJ Clinical Review)



BMJ Clinical Reviewです。
ドライアイについて。こういうコモンな病態のレビューはとてもうれしいです。

BMJ 2016;353:12333
The management of dry eye

・有病率8-34%
・リスクファクター:女性、高齢、閉経後エストロゲン療法、パソコン仕事、コンタクト着用、ω-3脂肪酸低摂取(!)、眼手術、骨髄移植、C型肝炎、薬剤、ビタミンA欠乏

・大きく分けて2つ:房水欠乏型と蒸発型
・房水欠乏型はシェーグレン関連と非シェーグレン関連に分けて考える。薬剤が原因のことも。
・蒸発型の多くはマイボーム腺の機能不全。油膜が張れない。外因としてはアレルギー、局所薬剤、コンタクトなど。
・症状は目の違和感、羞明、涙目など。角膜表面の不可逆的障害をきたすことも。

・評価は以下の通り
・tear film break-up time(フルオレセイン染色をして、瞬きを我慢してもらい、涙膜が壊れるまでの時間を測る)、Schirmer試験、染色をして角膜・網膜の上皮を観察、マイボーム腺の評価
・Ocular Surface Disease Index(OSDI)が病勢とよく相関する。各項目を0点-4点で評価。足して30点以上なら重症。

OSDI
ここ一週間で以下の症状がありましたか
・羞明
・目がチカチカ
・痛い、かゆい
・目のかすみ
・見えにくい
ここ一週間で目の症状のせいで以下の行動がしづらいことはありましたか
・読書
・夜間の運転
・ATM
・テレビ
ここ一週間で以下の状況で目の違和感がありましたか
・風が強いとき
・乾燥しているとき
・空調がかかっているとき

・まずはこれまでどんな治療をして効果はどうだったかを尋ねる
・環境を整える。パソコンや乾燥はなるべく避ける
・目薬の保存剤が実は犯人である可能性を考える
・内服薬をチェックする:抗ヒスタミン薬、βブロッカー、エストロゲン、TCA、SSRI、レチノインは原因となりうる

・人工涙液や軟膏は効果がありそう。製品ごとの差はない。
・重症なら保存剤の入っていない人工涙液か夜間の軟膏を。
・軽症~中等度なら市販の目薬でもいいかも。
・1日に4回以上点眼するなら保存剤の入っていないものを
・点眼が難しい人向けの補助器具もある。

・以下の場合は眼科紹介を
・眼痛や羞明が強い、片目だけ著明に充血、視力低下:即日紹介
・4週間治療してもコントロールできない
・診断に専門家が必要
・視力が徐々に悪くなっている
・潰瘍をはじめとする角膜障害の徴候
・シェーグレン症候群、眼瞼異常など専門家の管理が必要な状態