2016年3月21日月曜日

ストレス潰瘍の予防


重症患者の急性期に出血性胃潰瘍→予防しておけばよかった
という経験があるので、以下の文献をまとめてみます。

Prevention of stress-related ulcer bleeding at the intensive care unit: Risks and benefits of stress ulcer prophylaxis
World J Crit Care Med. Feb 4, 2016; 5(1): 57-64


・PPIやH2RAは胃粘膜からの出血を予防できる
・ただ、ICU患者の薬剤によるストレス潰瘍予防は、全体の死亡率減少には寄与しない

・ICUで胃出血が起こると死亡率は49%。胃出血がない場合は9%。
・多変量解析をすると胃出血が死亡率を上げない。

・出血のリスク因子:人工呼吸(OR 15.6)、凝固障害(OR 4.3)、3つ以上の併存疾患(OR 8.9)、肝障害(OR 7.6)、腎代替療法(OR 6.9)

・使用する薬剤はPPIの方が最も出血予防できる。
・ICUでのストレス潰瘍予防のフローチャート(毎日評価すること)




・なぜ全員に予防しないのか。有害事象があるから。

・クロストリジウム腸炎や肺炎のリスクが高くなる可能性がある。
・肝硬変患者ではPPI使用は独立した死亡リスク因子となる(SBP増やしてしまうからか)。

・薬物相互作用も注意。たとえばクロピドグレルを阻害して心血管イベントが増える。
・重症患者では肝毒性、骨髄毒性、低マグネシウム血症の可能性もある。

・ストレス潰瘍の予防策はなにもPPIだけじゃない。経腸栄養ができればそれがベスト。