2016年3月4日金曜日

不整脈原性右室異形成について



失神→じつは心室性不整脈をきたす疾患として、最近になって初めて知ったので、まとめます。

不整脈原性右室異形成(AVRD: arrhythmogenic right ventricular cardiomyopathy)

・有病率は1/2000~1/5000
・心臓突然死の原因となる

・症状:動悸(67%)、失神(32%)、胸痛(27%)、呼吸困難(11%)など
・多くは無症状(40%)

・30%は家族性
・10-50歳でみられ、診断がつく平均年齢は30歳

・心室性不整脈は、心室期外収縮の多発や、心室頻拍など。これが動悸の原因。
・最も多いのは単源性心室頻拍(左脚ブロックパターン)
・心室頻拍や心臓突然死は運動で誘発されうる

・まれに家族性のAVRDがあり、手掌足底の角化症ともじゃもじゃな頭髪が特徴となる。


・心電図異常で疑ったり、AVRDを疑って心電図をとったりするが、半数近くの患者は正常心電図となる。
・胸部誘導でQRS延長:右室活動の延長を意味する。V1でQRS>110msecだと感度24-70%。
・S波の上りが遅い(>55msec):右脚ブロックを伴っていなければ感度91-95%。V1-V3で。
・ε波(QRSとTの間に見られる波):感度30%。右室の一部の活動が遷延することによる。
・V1-V3でT波陰転化

・運動心電図で心室性期外収縮が増えるのを確認することもある

・エコーは疑ったら行う。
・右室拡大、右室収縮機能低下、余計な肉柱形成などが所見




失神をみたら、心原性を疑うRed flagをきちんと聴取する。
Red flagがあれば、AVRDも考慮して検査する。


参考:UpToDate Clinical manifestations and diagnosis of arrhythmogenic right ventricular cardiomyopathy