骨粗鬆症のスクリーニング対象群と治療開始判断基準については
この本によくまとまっています。
骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2011年版からの引用です。
ステロイドを使用する際も、第一選択はビスフォスフォネートです。
ステロイド性骨粗鬆症の管理と治療ガイドライン(2014年改訂版)の引用です。
ビスフォスフォネートを使用している入院患者さんで
長期投与は逆に骨折のリスクになるとどこかで読んだなと思い
ポリファーマシーということもあって
ビスフォスフォネートをやめようかなと考えたのですが
ガイドラインや上の文献にも「やめ時」の記載がなく
どうしたものかと困ったので調べてみました。
BMJ 2015;351:h3783の記載を基にまとめます。
HORIZON-PFT studyでは、ゾレドロン酸3年間投与後に、さらに3年ゾレドロン酸を内服した群と、3年後からプラセボを服用した群をRCTで比較しています。
X線上の椎体骨折発見率はゾレドロン酸継続群で少なかった(3.0%vs6.2%)ですが、臨床的な違いはなかったという結論でした。
FLEX studyでは、アレンドロン酸を継続した群と止めた群で、椎体以外の骨折のリスクは変わらなかったが、臨床的な椎体骨折の発生率は継続群で減少した(2.4%vs5.3%)という結論になりました。しかし、FDAの分析では診療的な骨折の発生率は差がないということになったみたいです。
ビスフォスフォネートの休薬に関するRCTはこの2つだけなので、はっきりしたことは言えないのですが
BMJでは、アレンドロン酸を5年間ありはゾレドロン酸を3年間使用することで、休薬しても骨折予防効果が残るかもしれないという記載になっています。
臨床の場では、その時々の患者さんの状態に合わせて判断するように、とのことですね。
薬を始めた後に寝たりきになった、ステロイドを始めた、骨折をした、など、続けるか止めるかを判断する情報は変わっていきますからね。
そして大切なのは、始めるときに治療期間を決めることだ、とのあります。
私のケースでは、ポリファーマシーであること、寝たきりであることは休薬を支持する情報であり
治療期間がまだ短いこと、骨折新規発症のハイリスク群であることは続行を支持する情報です。
本人のADLと相談し、併存疾患の趨勢を判断しながら、相談して決めていこうと思います。