2015年10月22日木曜日

薬剤誘発性巨赤芽球性貧血(NEJM Review Article)


最近、薬剤副作用関連の記事が多いですね。

今週のNEJM Review Articleをまとめます。
Drug-Induced Megaloblastic Anemia

巨赤芽球性貧血といえばVitB12欠乏ならびに葉酸欠乏ですが
栄養状態が改善した現在は、医原性の割合が高くなっているとのことです。
MCVが高いからと言ってイコール巨赤芽球性貧血ではありません。
アルコール乱用、甲状腺機能低下症、再生不良性貧血、骨髄異形成症候群、溶血など網状赤血球数が高い場合でもMCVは高値になります。

ビタミンB12の必要量は1-2.5ug/dayと少量です。
葉酸摂取により血球異常は修飾されるので、医原性のビタミンB12欠乏は神経症状が先行することが多いそうです。
ミエロパチー、ニューロパチー、視神経萎縮、精神変化、直腸膀胱傷害などの自律神経障害に注意です。

・プリン、ピリミジン代謝阻害
抗がん剤の他には、メトトレキサート、アロプリノールなどが普段使う薬で重要です。

・葉酸吸収阻害
アルコール、抗痙攣薬、避妊薬、抗生物質がここに挙げられます。

・葉酸代謝阻害
メトトレキサートは、腸管や骨髄の前駆細胞に急速に影響を与えるので、治療開始24時間後には葉酸服用を開始すべきです。
ST合剤もこの仲間です。

・ビタミンB12吸収阻害
臨床的には、回腸粘膜が傷害されることにより引き起こることが多いです。
また、ビタミンB12は弱酸なので、アルカリ下で吸収が阻害されます。
フェニトイン(pH12)、H2ブロッカー、PPIなどが注意です。


巨赤芽球性貧血を疑う場合は
これらの薬剤が処方されていないかを確認しましょう。