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2015年6月28日日曜日

褥瘡の危険因子



褥瘡の評価法であるDESIGN-Rは、僕のいる病院でも看護師さんが活用しています。
今回は、褥瘡の発生を予測するスケールについてまとめてみます。

おそらく看護師さんにとっては常識なのでしょうが
こういう知識は研修医にとっては盲点になってしまいます。

図表はすべて、日老医誌 2013;50:583-591の引用です。


・ブレーデンスケール
おそらく日本で最も使われているスケールとのことです。
寝たきり状態になったときに評価を開始します。
急性期で48時間ごと、慢性期で1週間ごと、
高齢者で入院後1カ月までは1週間ごと、変化なければ3ヶ月に1回ごとに評価します。
病院で14点以下、介護施設で17点以下が発生危険点です。


・OHスケール
非常に簡便。寝たきり高齢者でマットレスの選択を行う際に使用するのが良い。



・K式スケール
前段階要因が1つでもあれば、褥瘡発赤危険状態である。
さらに、引き金要因が1つでもあれば、一週間以内に褥瘡発生の可能性がある。
前段階要因に「介護知識」、引き金要因に「栄養」を加えた在宅K式スケールもある。
(以下の図表のみ、http://chcm.umin.jp/education/ipw/files/session/pu_lecture.pdfより引用)




病棟でも寝たきり高齢者の方は多いので
CGA(高齢者総合的機能評価)と合わせて、これから意識して評価していこうと思います。


2014年12月29日月曜日

無症候性蛋白尿/透析受容/Reticulocyte Index/オタワCTルール



先日参加したカンファランスで話題になった事項を纏めます。


・成人の無症候性蛋白尿のアプローチ

透析導入時の患者・家族の受容や、紹介元が果たすべき役割についての議論がありました。
議論したケースの患者さん(80歳代)は、20歳代で蛋白尿のみを指摘されていました。
おそらく今回の透析導入とは関係ありませんが、無症候性蛋白尿の鑑別について調べてみました。

いつものようにUpToDateを。proteinuriaで検索し以下の記事を見つけました。
Assessment of urinary protein excretion and evaluation of isolated non-nephrotic proteinuria in adults

蛋白尿があって、尿沈渣(血尿など)に異常がなく、GFR低下がなく、高血圧や糖尿病もない場合を、isolated proteinuriaというとのことです。
蛋白排出は3.5g/day以下で、低アルブミンがなく、浮腫などの症状がないのが特徴です。

isolated proteinuriaをみたら、まず一過性蛋白尿でないかを確認します。
発熱や運動などで惹起されることが多く、多くは尿蛋白1g/day以下です。
18歳以下の蛋白尿の8-12%を占めるそうです。

次に起立性蛋白尿を鑑別します。
大事なのは、30歳以上では稀であること、仰臥位で尿蛋白が正常になることです。
立位より臥位で尿蛋白が減るのは当たり前だそうです。

この2つでない、つまり生理的でない蛋白尿のアルゴリズムは以下の通りです。
尿蛋白が3mg/day以上、またはアルブミンが大部分を占める場合は、糸球体性蛋白尿を考え腎生検を行います。
尿蛋白3mg/day以下でアルブミンの割合が小さいなら、骨髄腫を考えて、モノクローナル軽鎖を測定します。
それでもなければ、尿細管障害(薬剤、自己免疫など)を考えます。β2ミクロアルブミンなど低分子蛋白を測定します。

腎後性蛋白尿、つまりUTI、結石、腫瘍でも蛋白尿が起こるので注意です。1g/day以下が多いみたいです。
あとは、溶血や横紋筋融解症も蛋白尿をきたします。



・透析導入の受容過程

ディスカッションでは、紹介元医師による透析の説明の有無や、家族の支援、本人の病状の理解などが大事なのではとなりました。
透析施設=墓場みたいなイメージを持つ患者さんもいるらしく、事前にビデオを見せたり見学をしてもらったりしているみたいです。

私は、週3回の通院の負担を考え、タクシー代などの通院費や、施設へのアクセス、家族の協力が需要に関係するのではという意見を述べました。
私は研修を行う病院のある自治体では、障害者手帳でタクシー運賃の割引があるそうですが、詳しい数字は福祉課そなえつけのしおりにしか載っていないらしく、調べられませんでした。

透析需要に影響を与える要因について質的に分析した看護論文(J. Jpn. Acad. Nurs. Sci. 23; 1-13, 2003)によると、「ス トレスの認知状態」「友人の手段的支援」「年齢」「精神健康状態」「導入時 どの程度納得していたか」が心理的適応に影響しており、ストレスの積極的な介入と透析に至る前の患者教育が重要であると結論しています。

また、糖尿病性腎症による透析導入の患者では、視力障害などで就業率や社会参加が低いという患者背景があり、障害を負い目と感じ、その障害と対峙できないことが、自尊心の低下をもたらすという研究もありました。(J. Jpn. Acad. Nurs. Sci. 34; 31-38, 2011)



・貧血における網赤血球の評価

貧血では網赤血球の増減が大事だけど、Retの数値をみるだけでは騙されるよという話でした。
RI(Reticulocyte Index)を計算して、2以上なら溶血性貧血を考えます。




上表は週刊医学界新聞のこの記事より引用しました。



・頭痛を訴える救急患者にCTを撮るべきか

作業服を着た30歳男性が、頭痛を訴えて救急受診というケースでした。
続発性を除外しないと、工場勤務だから中毒か…ということでCT撮影までしましたが
実際は作業着来てるけど仕事は事務、ブラック企業で睡眠時間も3時間程度で、診断は緊張性頭痛でした。

頭痛患者のCT撮影については
JAMAで2013年にpublishされた以下の論文があります。
Clinical decision rules to rule out subarachnoid hemorrhage for acute headache.

カナダで3次救急を受診した頭痛患者(ピークが1時間以内、神経学的所見なし)2131人を対象に
SAHがあった群(6.2%)とそうでない群を比較して、decision ruleを作成したものです。

作成されたオタワSAHルールは以下の通り。




これで感度100%(98.6-100%)、特異度17.8%(16.6-19.1%)です。

…そりゃそうだろっていう感じですかね。
病歴聴取でこのあたりを落とさないようにするのが大事ということでしょうか。
でもこれだと、40歳以上の患者は全例ひっかかりますよね。