Wernli KJ, Anderson ML, Palazzo L, Luce C, Bezman N, Rogers K, et al. Health communication and stepped reminders interventions for lung cancer screening: a randomized clinical trial. JAMA Intern Med. 2026 Aug 10. doi:10.1001/jamainternmed.2026.3666. https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/article-abstract/2852476
Key Points
問い:複数のレベルに存在する障壁に対処する介入によって、毎年の肺がん検診の受診率は改善するのか?
知見:1,837人を対象としたランダム化臨床試験において、shared decision-makingに加えて健康情報を提供する介入を行っても、肺がん検診の継続受診率は改善しなかった。
一方、プライマリ・ケア医と患者の双方を対象としたシステムレベルのリマインダーによって、肺がん検診の受診率は向上した。特に、現在喫煙している患者でその効果が大きかった。
意味:プライマリ・ケア医が主体となって肺がん検診を実施するプログラムでは、適切なタイミングで、
プライマリ・ケア医には「低線量CTをオーダーするよう」リマインドする
患者には「低線量CTを予約するよう」リマインドする
という多層的なリマインダーを提供することが、毎年の肺がん検診の受診継続率を改善するうえで有効だった。
重要性
米国予防医学専門委員会(US Preventive Services Task Force: USPSTF)は10年以上にわたり、毎年の肺がん検診を推奨している。しかし、毎年の検診を継続して受ける割合は依然として低い。
目的
ガイドラインに沿った毎年の肺がん検診の継続受診率を高めるため、患者中心の多層的な介入を2種類実施し、その効果を検証すること。
研究デザイン、実施場所、対象者
Kaiser Permanente Washingtonにおいて、プラグマティックな2×2要因ランダム化臨床試験を実施した。
2022年11月21日から2024年4月5日までに、肺がん検診を受け、画像上正常所見であった患者を対象とした。最終フォローアップ日は2025年7月4日であった。データ解析は2025年7月から12月に行われた。
介入
4群を設定した。
通常診療群
Health Communication群
Stepped Reminders群
両方の介入を行う群
Health Communication介入では、印刷物および動画による情報提供を行い、患者が肺がん検診について十分な知識を持っていないことによる障壁に対応した。
Stepped Reminders介入では、プライマリ・ケア医が肺がん検診の画像検査をオーダーできるようにするとともに、患者に検査の予約を促すアウトリーチを行った。
両方の介入は、電子健康記録のレジストリを利用するシステムレベルの肺がん検診コーディネーターによって実施された。
主要評価項目
主要評価項目は、基準となる低線量CT検査の9~15か月後に、肺がん検診として低線量CT検査または胸部CTを完了したかどうかであった。
毎年の検診対象となったすべての参加者をmodified intention-to-treat解析に含めた。肺がんと診断された場合、死亡した場合、予定より早くLDCTまたは胸部CTを受けた場合、または健康保険から脱退した場合には、その時点で追跡を打ち切った。
結果
1,837人が試験に参加した。平均年齢は66.3歳(SD 6.5)で、897人(48.8%)が女性、940人(51.2%)が男性であった。現在喫煙していた人は875人(47.6%)であった。
参加者は、
通常診療群:459人
Health Communication群:460人
Stepped Reminders群:460人
両介入群:458人
に無作為に割り付けられた。
年間肺がん検診の受診率は、Health Communication介入を受けた群では59.2%(804人中476人)であり、介入を受けなかった群の63.3%(815人中516人)より4.7ポイント低かった。相対リスクは0.93(95% CI, 0.86–1.00、P=0.04)であり、Health Communication介入による受診率の改善は認められなかった。
一方、Stepped Reminders介入を受けた群の年間検診受診率は75.5%(800人中604人)で、介入を受けなかった群の47.4%(819人中388人)より27.7ポイント高かった。相対リスクは1.59(95% CI, 1.47–1.72、P<0.001)であった。
さらに、Stepped Remindersの効果は現在喫煙している患者で特に大きかった。
現在喫煙者:介入あり73.0% vs 介入なし41.2% リスク差:32.3ポイント(95% CI, 25.9–38.8)
過去喫煙者:介入あり77.8% vs 介入なし52.9% リスク差:24.1ポイント(95% CI, 18.1–30.0)
この効果の違いは統計学的にも有意であった(P for interaction=0.03)。
結論・意義
このランダム化臨床試験では、適切なタイミングで、PCPにはLDCTをオーダーするよう、患者には検査を予約するよう促す多層的なリマインダーを提供することが、毎年の肺がん検診の受診継続率を改善するうえで有効であった。
特に、プライマリ・ケア医が主体となって肺がん検診を実施するプログラムにおいて、このような介入は有効である可能性が示された。
感想
患者要因だけではなく医療者要因にも介入することの有用性を示した研究だと思います。