Allen KA, Kelly MM, Pitt MB, et al. Patient preferences for plain-language alternatives to medical jargon in clinical notes. J Gen Intern Med. 2026;41:3937–3945. https://doi.org/10.1007/s11606-026-10353-2
背景
米国では、法律によって医療記録へのアクセスが保障されるようになったこともあり、患者が自身の診療記録を閲覧する機会が増えている。診療記録に使用される医学用語の中には、患者にとって理解しにくいものや、不快に感じられるものがあり、患者と医療者の関係を損なうリスクがある。しかし、代替となる表現について、十分なエビデンスは存在しない。
目的
診療記録において、従来の医学的表現と平易な言葉による代替表現のどちらを成人が好むかを明らかにすることを目的とした。
研究デザイン
2023年のミネソタ州立フェアにおいて実施した横断的観察研究である。
対象者
18歳以上で、英語を話す、または読むことができ、正式な医療教育を受けていない成人を対象とした。電子式質問票を用いて調査を実施した。
主な評価項目
9つの臨床シナリオを提示し、医学的専門用語を用いた記録表現と、平易な言葉を用いた記録表現の選択肢を提示した。参加者が好む記録表現と、それに関連する自由記述コメントを収集した。
結果
合計276人が調査に参加し、そのうち271人が質問票に完全に回答した。平均年齢は45歳で、56%が女性、67%が学士号以上の学位を有していた。従来の医学的表現は、平易な言葉による代替表現と比較して、著しく好まれなかった。例えば、「外来治療の失敗(failed outpatient treatment)」を好んだ人は2%であったのに対し、「改善しなかった(did not improve)」は70%に選ばれた。「抗菌薬を拒否した(refused antibiotics)」は6%であったのに対し、「服用を見送ることを希望した(preferred to skip)」と「辞退した(declined)」は、それぞれ43%に選ばれた。「アルコール使用を否定する(denies alcohol use)」は16%であったのに対し、「アルコールを飲まない(does not drink alcohol)」は82%に選ばれた。「主訴(chief complaint)」は20%であったのに対し、「受診理由(reason for visit)」は79%に選ばれた。「ノンコンプライアント(non-compliant)」と「ノンアドヒアレント(non-adherent)」は、いずれも2%と好まれなかった。一方、「服用することができていない(has been unable to take)」は56%、「薬の服用を中止した(stopped taking the medicine)」は39%に選ばれた。
質的分析では、以下の8つのテーマが特定された。明確で十分なコミュニケーション、客観的かつ正確な情報、直接的で簡潔な伝達、共感的で個人的な配慮があり肯定的な言葉遣い、患者の自律性と主体性の尊重、記録における経済的事情への配慮、患者が他者に依存している状況の認識、そして正式で専門的な語調の維持であった。
結論
本研究の結果は、医療記録において平易な言葉が強く好まれることを示している。また、従来の医学的専門用語に代わる、患者に好まれる具体的な表現も複数明らかになった。
感想
コンプライアンスは使わないようにしていましたが、アドヒアランスも好まれないのですね。ついつい「治療拒否」とか「服薬拒否」とか書いてしまうのですが、見直すべきだなと思いました。