2020年6月22日月曜日

味覚・嗅覚異常の原因



味覚・嗅覚異常は,外来で時折であう主訴ですが
鑑別診断があまり想起できず,栄養素欠乏がなければ加齢性疑いでお茶を濁していました.

AFPで総説があったのでざっくりまとめます.

嗅覚異常の鑑別は以下の通り(上論文より改変)
・鼻・副鼻腔疾患
・頭部外傷
・パーキンソン病など神経変性疾患
・頭蓋内腫瘍
・内分泌(副腎不全,クッシング症候群,糖尿病,甲状腺機能低下症,偽性副甲状腺機能低下症など)
・てんかん,偏頭痛
・SLE
・シェーグレン症候群

味覚異常は以下の通り
・口腔内感染症(カンジダなど)
・ベル麻痺
・頭部,頭蓋底の腫瘍
・鉛や銅の中毒
・内分泌(副腎不全,クッシング症候群,糖尿病,甲状腺機能低下症,偽性副甲状腺機能低下症など)
・てんかん,偏頭痛
・シェーグレン症候群

言われてみればなるほどですね.内分泌系の疾患が主訴からだと想起しづらいです.


薬剤性の味覚・嗅覚障害も珍しいことではないようです.
これもリストを作成して頭の中に入れておきます.

・抗菌薬(アンピシリン,アジスロマイシン,シプロフロキサシン,クラリスロマイシン,メトロニダゾールなど)
・抗てんかん薬(カルバマゼピン,フェニトイン)
・抗うつ薬
・抗ヒスタミン薬
・降圧薬など循環器系薬剤(エナラプリル,ジルチアゼム,サイアザイド,ニフェジピン,プロプラノロール,スピロノラクトンなど)
・コルヒチン
・抗がん剤
・レボドパ
・クロザピン
・メチマゾール,プロピルチオウラシル
・スタチン(フルバスタチン,ロスバスタチン,プラバスタチン)
・バクロフェン,ダントロレン

かなり省きましたが,それでも長いリストになってしまいました.
大まかに覚えたうえで,味覚・嗅覚障害の鑑別に薬剤性を外さないようにするのがよさそうです.