2020年3月5日木曜日

Nasogastric tube syndrome



他院入院中で経鼻胃管が留置されている患者が,酸素飽和度低下で来院.
著明なstridorがあり,気道閉塞を疑って検査したところ,両側声帯麻痺が発覚.
気管切開をして気道確保し,胃管を抜去して経過観察したら,麻痺は自然軽快した.

…というケースを見聞しました.


Nasogasrtic tube syndromeといい,胃管挿入により両側の声帯麻痺がおこることがあります.知らなかったです.


調べてみると,17例を集積したメタアナリシスがありました.
Brousseau VJ, Kost KM. A rare but serious entity: nasogastric tube syndrome. Otolaryngol Head Neck Surg. 2006 Nov;135(5):677-9. (PMID: 17071292)

症状は,咽頭痛が最も多く13/17,次にストライダー(9/17),嚥下障害(6/17),嗄声(5/17),呼吸困難(3/17)と続きます.
予兆はなく,挿入後すぐに起こることもあれば,抜去後しばらくして起こることもあるようです.


上気道閉塞という緊急で処置が必要な状態となるので,
「胃管挿入に関連して両側声帯麻痺が起こることがある」という知識は
救命のためには非常に重要ですね.

もちろん稀ですが,胃管挿入はコモンな手技なので,知っておくべきです.


参考:http://www.jseptic.com/journal/28.pdf