2021年4月22日木曜日

身寄りのない高齢者は最期をどこで迎えるか

Plick NP, Ankuda CK, Mair CA, Husain M, Ornstein KA. A national profile of kinlessness at the end of life among older adults: Findings from the Health and Retirement Study. J Am Geriatr Soc. 2021 Apr 21. doi: 10.1111/jgs.17171. Epub ahead of print. PMID: 33880751.

https://agsjournals.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jgs.17171?af=R


背景・目的

終末期の介護の大部分は、無給の家族によって行われている.高齢者の中には親族のいない人が増えており、終末期に自宅で過ごすには介護者のサポートが不十分である可能性がある。そこで、高齢者のうちどのくらいの割合で終末期に親族がいないのかを調べ、親族がいないことと終末期の介護との関連を評価した。


デザイン

Health and Retirement Studyの死亡者を対象としたレトロスペクティブ分析(2002~2015年)。


設定

米国の人口ベースのサンプル。


対象者

インタビュー後1年以内に死亡した51歳以上の死亡者(n = 3844)と、最終インタビュー時に地域に住んでいるサブセット。


測定方法

配偶者や子供がいないことを「親族がいない」と定義した。主要評価項目は死亡場所。副次的評価項目は、症状の重さや介護者のサポートなど、状況に応じた終末期の評価項目。


結果

死亡時に親族がいなかった人は7.4%であった。親族のいない死亡者は、女性、非白人、メディケイド加入者、一人暮らし、死亡前に老人ホームに入所していた人が多かった。地域に住む親族のいない被相続人は、親族のいる被相続人に比べて、終末期における1週間あたりの介護時間が短く(34.7対56.2、p<0.05)、老人ホームで死亡する可能性が高かった(18.1対10.3、p<0.05)が、終末期の症状負担や治療強度(集中治療室の使用など)は高くなかった。人口統計学的特性および疾患特性をコントロールした多項ロジスティック分析では、死亡前に地域社会で生活していた親族のいない被相続人は、老人ホームで死亡するリスクが2倍に増加し(オッズ比[OR]=2.02[95%信頼区間(CI)=1.09-3.72])、自宅に対して病院で死亡するリスクが増加する傾向が見られた(OR=1.60[95%CI=0.96-2.69])。


結論

親族のいない人は、人生の最後の年に地域で生活していても、老人ホームで死亡する可能性が高い。家族のサポートシステムに関係なく、すべての高齢者が質の高いEOLケアを受けられるようにするためには、長期ケアサービスと政策を拡大する必要がある。


感想

着眼点がとてもよいです.現状を記述するところから評価と介入が始まりますよね.