2021年4月20日火曜日

直接観察での指導医は「壁にとまったハエ」ではない

Rietmeijer CBT, Deves M, van Esch SCM, van der Horst HE, Blankenstein AH, Veen M, Scheele F, Teunissen PW. A phenomenological investigation of patients' experiences during direct observation in residency: busting the myth of the fly on the wall. Adv Health Sci Educ Theory Pract. 2021 Mar 25. doi: 10.1007/s10459-021-10044-z. Epub ahead of print. PMID: 33765197. https://link.springer.com/article/10.1007%2Fs10459-021-10044-z  

指導医による研修医の直接観察(DO)は、卒後医学教育において非常に推奨される教育手段であるにもかかわらず、その普及率は低い。研修医や指導医は、DOを行わない理由として様々なことを挙げている。その中には、DO中の患者とのやりとりに関するものもある。これらの相互作用についての患者の視点、さらに広く言えば、DOの状況下で患者であることがどのようなものなのかは分かっていない。患者の視点を理解することは、DOの状況における力学をより完全に理解することにつながり、それが患者の福利厚生に役立ち、教育ツールとしてのDOの使用を改善する可能性がある。本研究では、現象学的なインタビュー調査を実施し、DOの状況下で患者であることの経験を調査した。分析では、複数回のコーディングとテーマの特定を行い、最終的には現象学的還元を行って、体験の本質的な要素を導き出した。このプロセスの中心となったのは、絶え間ない省察であった。その結果、DOの状況における指導医の役割について、新たな視点を得ることができた。患者は研修医との対話を望んでいたが、指導医との接触や指導医の参加の瞬間を求めていた。したがって、指導医が自分は対話の一部ではなく、壁にとまったハエであると考えているDOの概念は、批判的に見直されるべきである。そのために、私たちは職場学習における参加型直接観察という概念を提案する。この概念を取り入れることで、患者のウェルビーイングと研修医の学習の両方にメリットがあるかもしれない。 

 感想 めちゃ面白い論文でした.そうですよねー.納得です.