2021年4月8日木曜日

学校で習った診察手技,実際に使っているの?

 Kerzner S, Mao RQ, Patel JN, Sreeraman S, Profetto J. Identifying the gap in clinical skills: a pilot study investigating the use of clinical respiratory examination skills in practice. Educ Prim Care. 2021 Apr 7:1-7. doi: 10.1080/14739879.2021.1901614. Epub ahead of print. PMID: 33825655.

https://doi.org/10.1080/14739879.2021.1901614


医学部時代に学んだ臨床技能を実際に使用しているかどうかを調査した文献は乏しい。本研究の目的は、最も臨床的に意味のある診察スキルに焦点を当てて報告し、学生の臨床実習への準備を高めることである。本研究では、利便性とスノーボールサンプリングを用いたオープンリクルート戦略により、10分間の匿名のオンライン調査を研修医と医師に広めた。この調査では、呼吸器系の診察スキルの実際の使用状況を調べることを目的とした。結果を評価するために、基本的な量的分析と記述的な内容分析を行った。


合計161名の回答者のうち、148名が調査を完了した。回答者の大多数は、12の診察スキルすべてが実際に役立つと考えていた。触診では、気管切開が唯一有用とされた(68.63%が有用)。呼吸音の聴診は満場一致で有用とされたが、その他の打診や聴診のスキルはすべて有用とはされなかった。質的分析では、疾患の病態生理を学ぶのに役立つこと、リソースが限られた環境で役立つこと、特定の状況(外傷や異なる専門分野など)で有用であることから、診察スキルは実際にはあまり使わないがちゃんと教えるべきであるということが主なテーマとなった.


学生に教えている臨床技術と実際に使用している臨床技術の間には相違がある。しかし、このようなスキルを医学生に教えることにはまだ有用性がある。カリキュラムからスキルを削除するのではなく、臨床的に重要な手法を強調することで、臨床現場への準備の指針とするのが良い方法であろう.


感想

これはとても着眼点がいいですね.スノーボールサンプリングでオンライン質問紙を広げています.自由回答を内容分析しているのですね.手法はとても簡潔で好感が持てます(笑).