Bradley SH, Hatton NLF, Aslam R, Bhartia B, Callister ME, Kennedy MP, Mounce LT, Shinkins B, Hamilton WT, Neal RD. Estimating lung cancer risk from chest X-ray and symptoms: a prospective cohort study. Br J Gen Pract. 2020 Nov 30:bjgp20X713993. doi: 10.3399/bjgp20X713993. Epub ahead of print. PMID: 33318087; PMCID: PMC7744041.
https://bjgp.org/content/71/705/e280.full
背景
胸部X線検査(CXR)は、多くの国で肺がんの第一選択の検査として行われているが、これまでの研究では、約20%の患者でCXRにより肺がんが検出されないことが示唆されている。また、CXRが陰性の場合、特定の症状を伴う肺がんのリスクは不明である。
目的
症状のある患者におけるCXRの感度と特異性を算出すること、CXR陰性後の肺がんの各症状の陽性予測値(PPV)を決定すること、CXR陽性とCXR陰性とで肺がんに関連する症状が異なるかどうかを決定すること。
デザインとセッティング
肺がんの症状がある患者がCXRを依頼できるサービスから定期的に収集したデータをもとに、英国のリーズで前向きコホート研究を行った。
方法
症状データを、各CXRの診断カテゴリー(陽性または陰性)と組み合わせ、肺がんに対するCXRの感度と特異度を算出した。また、CXRが陰性の患者について、各症状または症状の組み合わせに関連する肺がんのPPVを推定した。
結果
合計で、CXRを希望した8996人の患者のうち114人(1.3%)が1年以内に肺がんと診断された。感度は75.4%、特異性は90.2%であった。CXR後1年以内の肺がん診断に対するPPVは、喀血のPPVが2.9%であったことを除き、個々の症状はすべて1%未満であった。CXR後2年以内の肺癌診断に対するPPVは、喀血(PPV 3.9%)を除くすべての症状で1.5%未満であった.
結論
CXRの感度は限られているが、肺がんの有病率が低い集団では、その高い特異性と陰性予測値により、陰性結果の後に肺がんが存在する可能性は非常に低いことになる。この結果は、CXRの結果にかかわらず、原因不明の喀血は緊急に紹介する必要があるというガイダンスを支持するものである。
感想
極めてclinically relevantな研究です.プライマリケアではCXR陰性なら肺がんの可能性は低い,喀血があればCXRに関係なく肺がんを疑って紹介すべし,ということですね.こんな研究してみたい.