末期肝硬変患者で,困窮しており社会的排除状態にもあり,腹水がたまりすぎて臍から漏れ出たというケースを見聞しました.
先日,たまたま別病院の先生と話していると,やはり同様のケースを最近経験したとのことでした.消化器専門の先生でも経験したことがないと仰っていたので,現在の日本では,生活困窮者を多く診療する病院で散見される事例なのかもしれません.
色々検索してみたら,どうも"ruptured umbilical hernia"で調べると症例報告がヒットすることがわかりました.
有名どころでは,
NEJMのImagesで取り上げられています.
調べた限り最もインパクトのあった画像は
BMJのcase reportです(ヘルニア修復術後のケースである点に注意です).free accessなので,ぜひご一読を.
報告されているリスク因子は腹圧の咳嗽,嘔吐,腹腔鏡,内視鏡,そして便秘です(PMID: 19535799,21539740).死亡率が高く,治療は早急な外科的修復です(PMID: 25780312,23160169,28697716).ドレーンチューブを入れて再発予防を行った例もあります(PMID: 28678688).
健康の社会的決定要因との関連を指摘した報告はありませんでした.腹水とSDHの関連を論じた研究も見当たりませんでした.この辺りはまた詳しく知らべてみようと思います.