日本プライマリケア連合学会が企画した,英国家庭医療学会(RCGP)指導医を招いての講習会(Training the trainer: TTT)に参加しました.
https://www.rcgp.primary-care.or.jp/
とても学びの多い一週間だったので,このブログでもつらつら振り返ろうと思います.
ただし,講義や議論の内容をそのまま転載するわけにはいかないので,
一般的なトピックや,追加で自己学習して深めたことを中心に書きます.
今回は,指導者(教師)の役割について.
HardenとCrosbyが2000年に提唱した,12の役割が有名どころですね.
"The good teacher is more than a lecturer - the twelve roles of the teacher"と題された,AMEEの医学教育ガイドNo.20の論文で紹介されています.
・情報提供者
レクチャーをする,というのは最も理解しやすい指導者の役割ですが,この部面においてもなお,一方的な知識の伝達という理解ではもはやダメなようです.
双方向性を保ちつつ,熱意が伝わり学習者の意欲を駆り立てるようなレクチャーが,評価が高いようです.
また,臨床現場における指導者の役割は,臨床での学習において最も重要であり,省察的実践家としての自らの思考を共有することで,臨床での動き方,考え方を指南することが求められています.病歴聴取や身体診察についても,臨床減までの学びは大きいようです.
・ロールモデル
臨床現場における(つまり,将来学習者が鳴りたいと思う医師としての)ロールモデルを提供する,という役割を理解する上で,おそらくhidden curriculumを意識する必要があると思います.学習者は指導者がどのように振舞っていたかをよく観察しており,それをまねしようとします.とくに価値観や態度,思考のパターン,キャリア選択において,ロールモデルは強い影響を与えます.
一方で,教師としてのロールモデルも重要です.臨床推論学習会などでの指導者の姿が,私は最もよくイメージしやすいです.
・ファシリテーター
学習者の自由度が上がると,一方的に教えるという権威主義的なスタイルはもはや成り立たず,学習者の自由な学びを支援するファシリテーターとしての役割が求められるようになります.PBLチュートリアルなどが最も想像しやすいと思われます.
ファシリテーターより役割があいまいなのがメンターです.オフラインでのヘルプと表現されることもあり,通常は直接指導や評価にかかわらない者がなります.頼れる兄貴,みたいな感じでしょうか(ややジェンダーの偏りがある表現ですが).
この3つの役割は,私自身が普段から意識していたことでもあります.
とくにロールモデルとなる(背中を見せる),ファシリテーターとなる,という2点は,常日頃からいつも意識して指導に当たっています.
驚いたのは後半の3つ,いままで意識したことのない役割でした.
詳しくは次回まとめます.